2020年F1オーストリアGPのスチュワードは3日、メルセデスAMGの革新的な新ステアリングシステム「DASは合法」だと判断し、レッドブルの異議申立てを棄却した。
初日、真っ黒に塗られた「ブラック・アロー」のメルセデスAMGの車載映像には、ステアリングが前後に動く「DAS(Dual Axis Steering=デュアル・アクシス・ステアリング)」システムの様子がはっきりと映っていた。しかも2月のテスト時よりも動きがスムーズかつストロークも短くなっており進化しているようにも見えた。
■DASの効果とは?
DASは、ストレートでタイヤをより均一に加熱できることで、摩耗が減少、グリップが向上することで、コーナー進入時の安定性が最大になる効果がある。
DASシステムの動き。ステアリングが前後に動くことでトー角も動く
F1でもDASの動きを動画で解説している
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、ドライバーがステアリングを前後に動かすことによりフロントタイヤの「トー(タイヤの角度)を調整」できるDASシステムに対して異議を唱えていた。
このシステムはすでにFIA(国際自動車連盟)により来季2021年からの使用は禁止されているが、今季については認められている。
しかしレッドブルは、技術規則(テクニカル・レギュレーション)第3.8条の空力(エアロダイナミクス)違反、そして10.2.3項の「車が動いている間は、サスペンションシステムを調整することはできない」に違反していると訴えていた。
これに対してFIAテクニカル部門のニコラス・トンバジスは、メルセデスの今季型車W11のステアリングシステムDASは「従来のものとは違うが」「ステアリングの一部」であると判断した。その結果、スチュワードは、DASはサスペンション関連のレギュレーションに違反していないと判断した。
スチュワードは次のように発表した。
「簡単な話だが、DASがステアリングシステムでなければ違法だ」
「議題はDASがステアリングシステムの一部と考えられるかどうかだ。スチュワードはDASがステアリングシステムの一部だと決定した」
この結果、メルセデスはDASを使うことが可能となる。
1周あたり0.2秒速くなると言われているこのDASだが、レッドブルも導入する可能性をほのめかしており、早い段階でレッドブル製DASを見ることができるかもしれない。