メルセデスは今週末のF1オーストリアGP(5日決勝)で革新的ステアリングシステムである“DAS”を実戦投入するものと考えられているが、レッドブルでは今後正式に異議申し立てを行うかどうか「後で検討する」という姿勢を示している。
ドライバーがステアリングを前後に動かすことでフロントタイヤのトー角を調整することが可能となるDASだが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は現在のF1技術ルールに照らした場合それをすぐに違法とは見なせないという見解を示している。
2021年にはステアリングシステムに関するルールがより詳細に設定されてこのDASも禁止されることになるが、2020年に関しては禁止できないというのがFIAの考えだ。
そして、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、メルセデスはレッドブルリンクで開催される今週末のレースにDASを投入する方向で準備を進めているようだ。
本来2020年のF1開幕戦となるはずだったオーストラリアGPだが、レッドブルはもしもメルセデスがそこでDASを使用すれば正式に異議申し立てを行う可能性を強く示唆していた。
しかし、新型コロナウイルスの影響を受けてオーストラリアGPが直前にキャンセルとなり、その後レースができない時期が続いていたことからこのDAS問題もあまり大きな話題となることはなかった。
そして、今週末にいよいよ今年最初のF1レースが開催されることになるわけだが、レッドブルではもしメルセデスがDASを使用したとしてもすぐに異議申し立てを行うことはせず、様子を見ることになりそうだ。
それは、このレースが事実上の2020年のF1開幕戦であり、しかもレッドブルにとってはホームレースとなるだけに、異議申し立てを行うことで余計な波風を立てないほうが得策だという考えもあるのかもしれない。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、この件に関して質問されると次のように答えている。
「それに関しては後で考えることになるだろう」
「我々としては、まずはこのグランプリをうまく安全に運営したいと思っているからね」