ルイス・ハミルトン(メルセデス)の父親が、7月にF1を開始するのは早すぎると主張している。
今年ミハエル・シューマッハの持つ7回のF1タイトル獲得記録に並ぶことを目指すハミルトンだが、アメリカで起きたジョージ・フロイドの事件をきっかけとして、人種差別問題に対する姿勢を明らかにしていないF1を糾弾したことが大きな話題となっている。
メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフは、ハミルトンの発言によってアイデンティティ・ポリティクスについて多くを学ぶことができたと次のように語った。
「彼は一度私にこう聞いたことがある。『これまで自分が白人であるということを強く考えたことがあったかい?』とね。そして、『いや、実際のところそんなことを考えたことは一度もない』と私が言うと、彼はこう言ったよ。『僕は毎日そういうふうに考える必要があるんだ』」
ハミルトンの発言を機に、ほかのドライバーたちも人種問題などに関するコメントを行うようになっている。
そして、前F1最高責任者のバーニー・エクレストンも『AFP通信』に対し、ハミルトンがそういうことに関する発言をするのは「いいことだ」と語っている。
一方、ハミルトンの父親であり、以前はハミルトンのマネジャーを務めていたことでも知られるアンソニー・ハミルトンは、新型コロナウイルスが終息するに至っていない中で7月にF1がレースを再開するのは間違いだと主張している。
アンソニー・ハミルトンはF1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトに次のように語った。
「我々は忍耐と尊厳を持って、新型コロナウイルスの感染者数がゼロになるまで待とうと言うべきだ。そうすれば重要な従業員たちも家に戻ってリラックスすることができるし、彼らだってスポーツ観戦を楽しむことができる」
アンソニー・ハミルトンはさらに『ITV』に対しても、自分は7月に行われるレースを見ることもないだろうと次のように主張している。
「私が浮かれてルイスのレースを見たり、表彰台での様子を見たりすれば自分には非常に誠意がないと感じてしまうだろう。とりわけ、何千人もの人たちがウイルスによって死につつある中でテレビを見たり応援する気にはならないよ」
F1が発表した2020年シーズンの修正版オープニングカレンダーでは7月5日にオーストリアのレッドブルリンクで今年最初のF1決勝レースが開催される予定となっている。