2020年シーズン限りでフェラーリを離脱することが決まったセバスチャン・ベッテルの去就に注目が集まっている。
ベッテルが2010年から2013年まで4年連続でF1チャンピオンとなった古巣レッドブルへ復帰する可能性に関して質問を受けたレッドブル首脳のヘルムート・マルコはドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイツ)』に次のように語った。
「私はセバスチャンと話をしたし、もちろんレッドブルでの選択肢に関しても話し合ったよ。だが、残念ながらその可能性はない」
「私が彼と話したときに伝えられたのは、もし勝てるチームに加わることができれば(F1を)続けるし、そうでなければやめるということだった」
うわさによれば、ベッテルに対してマクラーレンとルノーが2021年に向けてオファーを出していたという。だが、マクラーレン・レーシングCEOのザック・ブラウンはベッテルとは実際に交渉が行われることはなかったと語っている。
そして、現在深刻な経営危機に陥っているとうわさされているルノーがベッテルが望む「勝てるチーム」ではないことも間違いないだろう。
ベッテルは2014年から2019年まで6年連続でF1タイトルを独占したメルセデスへ移籍するチャンスを探っているものと考えられている。だが、メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(チームCEO)はベッテルとの契約には前向きではないとも伝えられている。
アストンマーティンも候補に?
こうした中、ベッテルの移籍先候補として2021年からF1ワークス活動を開始するアストンマーティンの名前があがってきている。
レーシングポイントのオーナーであるカナダの大富豪ローレンス・ストロールがアストンマーティンを買収したことにより、2021年からレーシングポイントがアストンマーティンと名前を変えることはすでに報じられている通りだ。
F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトは、イギリスの『This Is Money(ディス・イズ・マネー)』誌に対し、書類によればストロールは来年からアストンマーティンと呼ばれることになるレーシングポイントに最大で2億3000万ドル(約248億円)もの投資を行う準備を進めているとの記事を寄稿している。
こうした中、ドイツのテレビ局『RTL』で解説者を務めるフローリアン・クーニヒは次のように語っている。
「もちろん、私はベッテルがメルセデスエンジンを搭載するアストンマーティンに行く可能性もあると考えている」
「セバスチャンが2021年もF1にとどまるようにするため、舞台裏で集中的な動きが行われることになるだろうと思っているよ」
ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハもその可能性はあると考えているようだ。
「トト・ヴォルフ(メルセデスF1チームCEO)がローレンス・ストロールとともに彼(ベッテル)に何かをオファーする可能性もあるだろうね」
そう語ったラルフ・シューマッハは、ヴォルフとストロールがメルセデスF1チームを買収することもあり得るだろうと付け加えている。
ベッテルが加わればメルセデスはスーパーチームに
こうした中、メルセデスの親会社であるダイムラーがドイツ出身のベッテルをハミルトンのチームメートに据えるようメルセデスに働きかけているようだと考えている者もいる。
「もし私の解釈が正しければ、その決定はメルセデスに委ねられているだろう」
そう語ったマルコは次のように付け加えた。
「ハミルトン対ベッテルが実現すれば非常に多くの観客動員が可能になると思うよ」
しかし、マルコはベッテルがこのままF1引退という道を選ぶ可能性もあると考えている。
「それはこのスポーツにとっては残念なことだが、もし勝てるチームに行くことができないのであれば、彼にとっては最善の策になるだろうね」とマルコは語った。
前F1最高責任者であり、ベッテルとは個人的にも親しいことで知られるバーニー・エクレストンもメルセデスでハミルトンとベッテルがチームメートになれば素晴らしいだろうと考えている。
「あの2人はうまくやるよ。エゴの問題が起きるとは思わないし、彼らのような傑出したドライバーが組めばスーパーチームになるだろう」
『RTL』にそう語った89歳のエクレストンは次のように付け加えた。
「ハミルトンがセバスチャンのことで気をもむとは想像できないし、ベッテルも同じクルマでルイスに戦いを挑むのを楽しむことは分かっているよ」