ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が、今季限りでダニエル・リカルドがチームを去る可能性があると認めた。
2019年にトップチームのレッドブルからルノーに移籍したオーストラリア出身ドライバーのリカルド。しかし、リカルドの期待に反してルノーは苦戦を強いられ、最終的には自分たちがエンジンを供給しているマクラーレンにも敗れ、コンストラクターズランキングは前年の4位から5位へと下がってしまった。
リカルドを中心としたドライバー強化プランを立てているルノーとしては、2020年シーズンに大きく前進を果たすことで2020年で契約が満期となるリカルドをつなぎとめたいと考えていた。
ところが、新型コロナウイルスのパンデミックという予期していなかった事態が発生したことで状況はさらに混沌としてきているようだ。
「ダニエルにとっても我々にとっても複雑な状況だよ」
母国フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』にそう語ったアビテブールは次のように続けた。
「士気やパフォーマンス、チームとして2年目にどう一緒に取り組むか、クルマをどれだけ進歩させることができたか、それらがどういう感触なのかを確かめたいと思っていたんだ」
「我々は、話し合うための重要な段階を決めるための話し合いも持っていた。これは全て通常の状態でのことであり、その後それは台無しになってしまったよ」
リカルドに関しては、セバスチャン・ベッテルの後任としてフェラーリに迎えられるのではないかとか、古巣レッドブルに戻る可能性もあるのではないかといったうわさがささやかれている。
アビテブールも2021年にリカルドがルノーに留まることになるかどうかは分からないと認め、次のように続けた。
「皆さんにお話しできるようなすごい事実などはないよ」
「もちろん、ダニエルが我々にとっての選択肢なのは確かだ。だが、我々としても他のドライバーのことも検討しなくてはならない」
ルノーにとって選択肢の1人となるのは2017年からルノーの育成ドライバーとなっているデンマーク出身のクリスチャン・ルンガーかもしれないと言われている。
将来有望と見なされている18歳のルンガーはF1昇格に必要なスーパーライセンスポイント獲得を目指して2020年にF2シリーズに参戦することになっている。だが、やはり新型コロナウイルスにより、いまだにレースが開催されていない状態だ。
アビテブールは次のように語り、その苦しい胸の内を明かしている。
「レースが行われないことでいろんなことがさらに複雑になっており、正しい決断を行うことが難しくなってきている。だが、決断を永遠に遅らせることはできないがね」