メルセデスでは明日13日(金)から始まる今季のF1開幕戦オーストラリアGP(15日決勝)で、話題の新ステアリングシステム「DAS」を使用するつもりでいるようだ。
この「DAS」は、ドライバーがステアリングを前後に押したり引いたりすることでフロントタイヤのトー角を調整することができるシステムだ。
現在のルールに記されたステアリングに関する文言からすれば「DAS」は違法とは認められないというのが統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の見解だが、2021年からはこのシステムが使用できないようルールが書き換えられることになっている。
実際のところ、この「DAS」に関しては実際には空力面での効果を持つものであり、トー角の調整により厳密には車高が変化することになるため、それらを禁止したルールには抵触するので違法だと考えている者もいる。
そして、レッドブルでは、もしメルセデスが実際にオランダGPでそのシステムを使用した場合には正式に異議申し立てを行うことになるだろうと警鐘を鳴らしている。
しかし、メルセデスではあくまでも「DAS」使用に踏み切るつもりだ。
メルセデスのF1チームCEOであるトト・ヴォルフは母国オーストリアの『Osterreich(エステルライヒ)』に次のように語った。
「異議申し立てを行う権利は誰にでもある」
「我々はシステムの詳細を提示し、FIAから合法だとのお墨付きをもらっているんだ」
「我々は彼らから非常に確固たる技術的説明を得たと思っている。そうでなければ、我々はあれを今のマシンに導入したりはしなかっただろう」
ところで、2019年シーズン途中にメルセデスが導入しようとしたホイールリムの合法性にフェラーリが疑問を投げかけ、やはりそれが使用された場合には正式に抗議を行うとプレッシャーをかけたことがあった。
そして、そのときにはヴォルフはそのホイールリムの導入を見送ったという経緯があった。
だが、今回はメルセデスにはそういう選択肢はないようだ。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、あるメルセデス関係者が次のように語ったと報じている。
「あのとき(2019年)は、我々としては抗議を受けるわけにはいかなかったんだ。なぜなら、基本的にF1タイトル獲得をほぼ確実にしていたからね」
「だが、今回はまだこの勝負に勝たなくてはならないんだ」