ウィリアムズのチーム副代表を務めるクレア・ウィリアムズが、自分たちは今後も独自にF1マシンの設計・製造を行っていくつもりだと主張した。
F1ドライバーズタイトルを7回、コンストラクターズタイトルを9回獲得した実績を持つ名門チームのウィリアムズだが、ジャック・ビルヌーブを擁して1997年に両タイトルを手にしたのを最後に、タイトル争いとは無縁の状態が続いている。しかも、2018年と2019年はコンストラクターズランキング最下位に終わり、まさにどん底の状態にあると言えるだろう。
先週から今年のF1プレシーズンテストがスペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行われているが、少なくともここまでの様子を見る限り、2020年のウィリアムズF1マシンの競争力は昨年よりはかなり向上してきているようだ。
しかし、シーズンが進むにつれて、やはりウィリアムズがほかのライバルチームに後れをとることになる可能性も小さくはない。
と言うのも、ほかのライバルチームたちはトップチームとの技術提携契約を結んでおり、いくつかのパーツを共有できるという有利な状況にあるからだ。
具体的には、アルファタウリ(前トロロッソ)はレッドブルから、ハースとアルファロメオはフェラーリから多くのパーツ供給を受けている。そして今年のレーシングポイントは「ピンクのメルセデス」と揶揄されるほどにメルセデスによく似たマシンに仕上がっている。
もともとF1には各チームが独自にF1マシンを開発しなくてはならないという厳格なルールがあった。だが、近年ではコスト増大に伴って大規模チームと小規模チームのギャップが広がる傾向にあることから、特定のパーツに関してはほかのチームから購入することが認められるようルールが緩和されてきている。
ウィリアムズのチーム設立者であり、現在も肩書上はチーム代表となっているフランク・ウィリアムズの娘であるクレア・ウィリアムズは、それは本来のF1ではないものの、時代の流れに逆らうこともできないとドイツの『Motorsport-Magazine.com』に次のように語った。
「この話題に関しては、私は伝統的な立場をとっています」
「私たちは自分たちの独立性に誇りを抱いていますし、私たち自身が設計したマシンをサーキットで走らせたいと思っています」
「ですが、ビジネスモデルは変化しつつあります。そして私たちも新たな環境に適応していかなくてはなりません」
現在ウィリアムズはメルセデスからPU(パワーユニット)と呼ばれるF1エンジンを購入しているが、原則としてそれ以外のパーツをほかのチームから購入することはしていない。
だが、時代の流れとともに、ウィリアムズでもこれまでとは異なるF1マシン製造プロセスを取り入れているようだ。
「私たちは負荷を削減するためにいくつかのパーツの製造に関しては外注化しています」
そう語ったクレア・ウィリアムズは次のように付け加えた。
「私たちの限られた予算では、すべてのパーツを自分たちだけで製造するのは困難だからです」
しかし、クレア・ウィリアムズは今後に向けても自分たちはほかのチームから多くのパーツを購入するというやり方でF1マシンを造るつもりはないと主張している。
「これからも、私たちは独自性を維持していきたいと思っています。2021年にバジェットキャップ(チーム予算上限値)が導入されることで独立系チームにとっては再びやりやすくなっていくでしょう」
「私たちは独力でパーツを開発します。それがこのスポーツのDNAだからです。しかし、現在のルールではハースあるいはアルファロメオがやっているような形のアプローチが可能なんです」
そう語ったクレア・ウィリアムズは次のように付け加えている。
「それは私たちのやり方ではありません。ですが、私はそれを批判したいとも思っていません」