2020年のF1シーズンにおいてトップ3と呼ばれるメルセデス、フェラーリ、レッドブルに次ぐナンバー4の座を確保するのはレーシングポイントになるかもしれない。
レーシングポイントの前身であるフォース・インディアは小規模プライベートチームながら2016年と2017年には2年連続でコンストラクターズランキング4位となった実績を持っている。
2018年はシーズン途中でカナダのビジネスマンであるローレンス・ストロールが新オーナーとなったことでフォース・インディア時代のポイントが無効となってしまった。
そしてレーシングポイントと名前を変えて臨んだ初のフルシーズンである2019年はマシンの開発に立ち後れ、ランキングは7位に終わっている。
しかし、レーシングポイントとして迎える2年目のシーズンに向け、ストロールはこれまで以上にメルセデスとの関係強化に動いたことが明らかとなっている。
メルセデスの風洞施設を利用して製造された2020年型レーシングポイントF1マシンは2019年型メルセデスに非常によく似ており、ちまたでは「ピンクのメルセデス」とも呼ばれている。
そしてその「ピンクのメルセデス」は先週バルセロナで行われたプレシーズンテストで驚くほどの速さを示して見せた。
スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールはドイツのテレビ局『Sport1(シュポルト1)』に次のように語った。
「彼ら(レーシングポイント)は昨年のメルセデスをコピーしているが、それが非常にうまくいったようだ」
「このチームは間違いなく4番目に位置するクルマをすでに手にしているよ」
昨年はトップ3チームに続いて4位にマクラーレン、5位にルノーがつけていた。そしてルノーも今年のレーシングポイントが手強い存在であることを認めている。
「我々はマクラーレンとほぼ同じレベルだ」
そう語ったルノーF1のマネジングディレクターであるシリル・アビテブールは次のように付け加えた。
「レーシングポイントが少し上にいるよ」
レーシングポイントのテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンも「自分たちの予想を超えているよ」と語り、ここまでは非常にうまくいっていることを認めている。
2014年からイギリスのシルバーストンにファクトリーを構えるチームでずっと戦ってきたセルジオ・ペレスも次のように語っている。
「僕たちは非常にいいクルマを手にしているよ。これまでとはまったく違うと感じられるし、あらゆる面でよくなっているんだ」
レーシングポイントのチーム代表を務めるオットマー・サフナウアーは、これはストロールが行った投資の結果だと次のように語った。
「以前の我々には完全に新しいものを造るための金がなかった。以前は常に前年のクルマを半分使わざるを得なかったんだ」
F1関係者の中には、今年のレーシングポイントはナンバー4どころか、フェラーリやレッドブル・ホンダを食ってしまう可能性すらあると考えている者もいるようだ。
フォース・インディアのオーナー兼チーム代表でもあったビジェイ・マリヤは、新たにレーシングポイントとして生まれ変わったチームが「少しだけ運に恵まれれば」2020年に優勝を飾る可能性もあるとツイッターを通じてコメントしている。
だが、今年10年目のF1シーズンを迎えるベテランドライバーのペレスは、本当のところはシーズンが開幕してみないと分からないと次のように主張した。
「彼ら(フェラーリやレッドブル・ホンダ)がまだ手の内を見せていないのは間違いないよ」