2人の元フェラーリエンジニアが、フェラーリにかかるプレッシャーはほかのF1チームよりもかなり大きいのは確かだと語った。
そのうちの1人は、今季までメルセデスのテクニカルアドバイザーを務めていたアルド・コスタだ。コスタは今季限りでメルセデスを離れ、2020年には母国イタリアに戻ってダラーラ(シャシーメーカー)のチーフテクニカルオフィサーに就任することになっている。
2011年シーズン序盤までフェラーリの技術責任者を務めていたコスタは2012年にメルセデスに移籍したが、そこで目にしたのは「非常に合理的かつ柔軟な働き方が出来、政治やドラマが入り込む余地がない」チームだったという。
「メルセデスでは、スタッフは自分たちの力をフルに発揮できる最高のコンディションに置かれているよ」
イタリアの『Automoto(オートモト)』にそう語ったコスタは次のように続けた。
「フェラーリでは一日中常に監視下に置かれているのは確かだよ」
「メディアからも、ファンからも、株主たちからも、さらには毎朝コーヒーを入れてくれるバーテンダーからもプレッシャーがかけられるんだ」
そしてもう1人は、現在マクラーレンのパフォーマンスディレクターを務めるアンドレア・ステラだ。ステラはかつてフェラーリでフェルナンド・アロンソの担当エンジニアだった人物で、アロンソとともに2015年にマクラーレンに移籍している。
ステラは、フェラーリはキミ・ライコネンによる2007年のドライバーズタイトル、2008年のコンストラクターズタイトルを最後にF1タイトルから遠ざかっているものの、実際のところほかのF1チームと比べても「欠けているものは何もない」と次のように語った。
「(フェラーリにも)同じ設備があり、有能で覚悟に満ちた人々がいる。だから材料や知識が足りないというような問題などないんだ」
「イギリスにあるものはフェラーリにもすべてあるよ」
メルセデスを始め多くのF1チームがファクトリーを構えるイギリスに言及しながらそう語ったステラは次のように続けた。
「イギリスでの違いは、F1は単なる仕事に過ぎないということだよ。ウェイターも僕がF1で働いていることを知っているかもしれないけれど、そのことにそれほどの意味はないんだ。だけど、フェラーリの場合は単なる仕事ではないんだ」
「オフィスを出てバーに行けばバーテンダーが聞いてくるんだ。フェラーリはいつ勝つのかとね。レストランに行けば、次のレースでは勝てるかと聞かれるよ」
「朝新聞を開けば常にフェラーリに関する記事を目にすることになる」
「だけど、チームとしての機能には何の違いもないと思うよ」
「フェラーリでもイギリスと同じ手法を持ち、同じ取り組み方をしている。欠けているものなど何もないよ。ビノット(チーム代表)のような経験と技術を持つ者もいるしね」
48歳のステラはそう語ると次のように付け加えた。
「だから、また勝てるようになるのは時間の問題だよ。だけど、それがフェラーリに欠けている唯一のものだから、僕たちは常に困った状況に置かれていたよ」