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「スプリントレース方式予選」導入には大反対のF1ドライバーたち

2019年09月24日(火)5:15 am

多くのF1ドライバーたちがリバースグリッドによる予選レースを現行の予選に置き換えるという案には反対のようだ。

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F1オーナーのリバティ・メディアとF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、今季のF1第15戦が開催されたシンガポールにおいてF1チームの首脳たちを集めて会議を行っていた。

■リバースグリッドによるスプリントレースとは?

そこで議題に上ったのは、現在の予選方式を大幅に変えて、土曜日にリバースグリッドによるスプリントレースを行い、その結果で日曜日に行われる決勝のスターティンググリッドを決める方式を採用するという案だったようだ。

この方式は現在F2などいくつかのカテゴリーで導入されているものだが、通常はその時点でのドライバーズランキングの逆順でスプリントレースのグリッドにつくことになる。

つまり、成績の悪い者から順にグリッド前方からスタートし、成績の一番いいドライバーがグリッド後方からスタートするわけだ。これにより、速いドライバーが前の遅いドライバーをオーバーテイクするシーンが多く見られるなど、よりエキサイティングなレースが行われるとともに、チーム間の力量差を意図的に小さくすることができるというメリットが指摘されている。

■F1改善案のひとつだとFIA会長

FIAの会長を務めるジャン・トッドは、この件についてフランスの『L’Equipe(レキップ)』に次のように語った。

「それは、このスポーツを改善し、より魅力的なものとするために行っている話し合いの一部だよ」

「我々は常に新しいアイデアを検討している。だが、まだこれは進行中の作業だと言っておこう。まだ何の結論も出ていないよ」

しかし、最近のうわさによれば、2020年に3つのグランプリでこの予選方式を試験的に実施するということで全チームが基本合意に達したようだと言われている。

■課題が多すぎるとレーシングポイント首脳

だが、現時点ではチーム関係者やドライバーたちの中にはこの案に疑問を呈している者が多いようだ。

例えば、レーシングポイントのチーム代表を務めるオットマー・サフナウアーは次のように語っている。

「未解決の問題がたくさんあるんだ」

「もし予選レースでクラッシュしたらどうするんだい? これまで以上にスペアパーツを用意する必要があるが、誰がその支払いをすることになるのかな? エンジンやタイヤの使用数だって変えることになるだろうね」

■馬鹿げたアイデアだとF1ドライバーたち

世界最高峰モータースポーツで活躍するドライバーたちにもこの案は受け入れられないようだ。

現F1チャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)はシンガポールで次のように語った。

「これを進めている人たちは、実際にそれがどういうことなのか本当には理解できていないんだ」

レッドブル時代に4年連続F1チャンピオンになったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)も「正直に言って、まったくでたらめな話だと思うよ」と語り、次のように付け加えた。

「どこの天才が考えついたのか知らないけれど、それは解決策にはならないよ。本当に改善したいのであれば、もっと全体の力を接近させることでよりよいレースとなるようにする必要があるね」

さらに、これからのF1を背負って立つ逸材だと見なされているマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)も「馬鹿げたアイデアだと思う」と、スプリントレース案を一蹴している。

現在そのフェルスタッペンのチームメートを務めているアレクサンダー・アルボンも「きっとウィリアムズはそれを歓迎するだろうね」と冗談を口にした後で次のように付け加えた。

「正直な話、僕はどうしてそれが必要なのか分からないよ。ほかのチームがもっとチャンスを得られるようにしたいなら、賞金をもっと同じような額で分配すべきじゃないかな」

ウィリアムズのルーキーであるジョージ・ラッセルも、現在は最下位に沈んでいるからといって自分たちもその案には賛成できないと次のように主張している。

「もし前にいることがふさわしい者がその位置を奪われたり、集団をかき分けながら走るときにダメージを負ったりするのは不公平なことだよ」

「F1はこういう形でエンターテインメント性を高めようとする前にF1マシンのスピード差をなんとかすることを考えるべきだと思うよ」

■話し合いは続けるべきだとマクラーレンのボス

今年の5月からマクラーレンのチーム代表を務めているアンドレアス・ザイドルはこの問題について質問を受けると次のように答えている。

「現時点ではまだ案以上の何物でもないと言っておこう」

「まだ具体的にどうするのかといった詳細についての話し合いさえ始まっていないし、実際の導入にはほど遠いよ」

「マクラーレンとしては、話し合いに臨む準備はある」

そう語ったザイドルは次のように付け加えた。

「F1の基本的部分を損なうようなものでない限り、パドックにいる者なら誰でも話し合いには加わるべきだからね」

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