ハースF1のチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーが、メルセデスのトップエンジニアであるアルド・コスタがダラーラへ移籍しても自分たちにメリットが及ぶことはないと語った。
イタリア出身のF1エンジニアであるコスタは、ミナルディ、フェラーリを経て2012年からメルセデスのエンジニアリングディレクターを務めていた。
今年は現場の最前線から一歩退き、テクニカルアドバイザーという役割に就いている58歳のコスタだが、先週末にF1第14戦イタリアGPが行われたモンツァにおいて、2020年からイタリアに本拠を構えるレーシングカーメーカーのダラーラに移籍することが発表された。
コスタは、今回の決断についてモンツァで次のように語っていた。
「私の家族はイタリアにいるため、かなり辛かったんだ」
2012年以降、ほとんどをメルセデスのファクトリーがあるイギリスで過ごしてきたコスタはそう語ると次のように付け加えた。
「最終的に、私は家に近いところにとどまりつつ、エンジニアとしてさらに成長できるであろうチャンスを利用することに決めたんだ」
コスタはダラーラにおいてチーフテクニカルオフィサーという肩書きが与えられる予定だと伝えられている。
ダラーラはレーシングカーのシャシー製造では世界有数の実績を持つ会社だ。そしてF1においては2016年から参戦を開始したハースのシャシー製造に大きく関わっている。現在ハースが使用している風洞やシミュレーターもダラーラのものだ。
ライバルチームの関係者の中には、最強チームであるメルセデスのシャシーを知り尽くしたコスタがダラーラに加わることで、そのノウハウがハースのF1マシンにも生かされるのではないかと疑いの目を向けている者もいる。
だが、シュタイナーはそうした見方を否定している。
「もし彼が我々を手伝えるのであれば、彼ら(ダラーラ)も私にそう言ってきたはずだと思うよ」
「もし彼がほかのチームのために仕事をするということであればメルセデスも彼を手放さなかっただろうと私は思う。私には彼がF1マシンを開発するだろうという想像はできないよ」
そう語ったシュタイナーは次のように付け加えた。
「アルドはとても正しい人物なんだ。彼はそんなことはしないし、我々も彼にそうしろと求めたりはしないよ」