シボレーは、コルベットブランド史上初となるミッドシップエンジン搭載の2020年式新型「シボレー コルベット スティングレイ」を発表した。
コルベットは、フェラーリなどと同じミッドシップエンジンを搭載する日常利用可能なスーパーカーに変貌したのだ。
■フロントエンジンからミッドシップへ変更、加速タイムが3秒以下に
発表にあたり、GMのマーク・ロイス社長は次のように述べた。
「フロントエンジン搭載の伝統的なモデルはパフォーマンスの頂点に達しており、新しいレイアウトを必要としていました。快適性とドライビングプレジャーという点において、歴代のどのコルベットよりも優れた走りを実現しています」
新たにミッドシップエンジンレイアウトを採用したことで、「コルベット スティングレイ」は以下のような大きな進化を遂げている。
●リア寄りの重量配分により、ストレートおよびサーキットでのパフォーマンスが向上
●ドライバーがほぼフロントホイールの真上に座るような、フロントアクスル寄りのドライビングポジションにより、レスポンスと操作性が向上
●エントリーモデルのコルベットとしては歴代最速を達成。Z51パッケージを装着した際の0-60mph加速タイムは3秒以下
●ボンネット、インストルメントパネル、ステアリングホイールを低く配置したことで、路面の視認性の高さはレーシングカーと同様。ドライバーと同乗者に対して優れた前方視界を提供
●コルベット伝統の実用性が向上。デュアルトランクにより、約357リッターの荷室容量が確保、旅行の荷物や2セット分のゴルフクラブを収納可能
■デザイン:レーシングカーと航空機にインスパイア
新型「コルベット スティングレイ」は、ミッドシップエンジンとなり未来的なデザインを特徴としているが、従来のコルベットを踏襲しているという。
GMグローバルデザイン担当副社長のマイク・シムコーは次のように述べている。
「米国のハイパフォーマンスカーのアイコン的存在である「コルベット スティングレイ」。このモデルを新たにデザインするというのは、シボレーのデザイナーが60年以上も待ち望んできた歴史的な機会であり、私たちにとっても特別な挑戦となりました」
「米国を代表する最高の1台が、ミッドシップエンジンを搭載したスポーツカーのクラスに参入を果たしました。コルベットは世界のベストモデルを相手に堂々と渡り合える車であると自負しています」
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」のデザインは、航空機とレーシングカーをルーツとしており、キャノピー(風防)をフロント寄りに置いたデザインは、F22やF35といった最新のジェット戦闘機やF1レーシングカーにインスパイアされたものだという。
■日常ユースに適した“真のスーパーカー”を目指して開発
コルベットの構造体は、バックボーンとなるセンタートンネルを中心に設計されている。軽量で剛性の高い構造体は、サスペンションシステムが最適に機能するための基盤を構築し、ボディのたわみが取り除かれたことで、究極の乗り心地と卓越した横方向のグリップ力を得た。これにより高速走行や長距離走行において振動が少なく、路面に吸い付くような安定したフィーリングを実現しているという。
コルベット開発のエグゼクティブチーフエンジニア、タッジ・ジェクターは次のように述べている。
「私たちの使命は、コルベットとしての魅力的な特性やパフォーマンスと、ミッドシップエンジンのスーパーカーならではのドライビングエクスペリエンスを融合した、新しいタイプのスポーツカーを開発することでした」
■ハンドリング:コルベットを支えるDNAの核心部
「コルベット スティングレイ」は、ハイウェイでの優れた乗り心地と、サーキットでのバランスのとれたハンドリングを実現させるべく開発された。
「洗練されたサスペンションジオメトリー、最適化されたタイヤテクノロジー、そして細部にまで熟考された構造体によって、私たちは乗り心地とハンドリングの向上を達成しました。これほど快適性と俊敏性に優れていながら、完璧なまでに安定した走りを披露するコルベットは過去に例がありません」と、ジェクターは述べている。
新型「コルベット スティングレイ」は、コイルオーバーダンパーを採用したことで、まったく新しい乗り心地とハンドリング特性を達成した。
ミッドシップのエンジンレイアウトを採用したため、短くてストレート、しかも強固なステアリングシステムを構築。さらに電子制御ステアリングシステムに改良を施したことで、ドライバーの入力に即座に反応するシャシーが完成した。
また、シートポジションが新しくなったことで、車両の重心位置がドライバーの腰部に近づき、車両はドライバーを中心に回転することになり、車両のハンドリングとレスポンスは一新されている。
■中央に鎮座する“宝石”
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」の心臓部には、次世代型6.2リッター・スモールブロックV8 LT2エンジンを搭載。このセグメントでは唯一の自然吸気型V8エンジンだ。
最高出力と最大トルクは、パフォーマンスエキゾースト装着時でそれぞれ495hp(369kW)と470lb-ft(637Nm)。エントリーレベルのコルベットとしては過去最大のパワーとトルクを発生している。
GMのスモールブロックエンジン担当グローバルチーフエンジニアのジョーダン・リーは次のように述べている。
「ドライバーの後方に搭載されるLT2エンジンは、優れたローエンドトルクとハイエンドパワーを発生し、どんな回転域でも刺激的なペダルレスポンスを実現するよう設計されています」
パワートレーンは低重心化を図り、ハンドリングを向上させている。
■別次元のシフト感覚
次世代LT2エンジンに組み合わされるのが、シボレー初の8速デュアルクラッチトランスミッションで、これによりきわめて素早いシフトと優れたパワー伝達を達成している。
このトランスミッションはTREMEC社と共同で専用開発したもので、マニュアルのダイレクトな操作感とオートマチックならではの極上の快適性を併せ持っている。
ダブルパドル式のクラッチ解除機構が備わっており、ドライバーが両方のパドルをホールドするとクラッチの接続を解除することができるため、よりマニュアルに近い操作が可能になり、パドルシフトにより、ドライバーは特定のギアを選択することができる。
ジェクターは、「パフォーマンスシフトのアルゴリズムはドライバーの意思を可能な限り反映するよう設定されており、モードに関係なくドライバーがアグレッシブな運転を楽しんでいるときは、スロットルレスポンスに敏感な低いギアを保持します」と述べている。
スモールブロックの新型V8エンジンは、専用のDCTの利点でもある素早いシフトチェンジを生かせるよう、トルクカーブが最適化されている。
エンジニアは、DCTの1速ギア比をきわめて低く設定することで、トラクションを高めて素早い発進加速を可能にし、2速から6速まではクロスレシオ設定として、サーキット走行においてエンジンのパワーピークを維持しやすいようにしている。
7速と8速は高めのギア比に設定して、ゆったりとした長距離走行を可能にしつつ負荷を軽減し、燃費の向上を図っている。
■革新的なテクノロジーがパフォーマンスと利便性を格段に向上
ドライバーモードの選択肢が4から6に拡大し、ドライバーは自分の好みに合わせて新型「コルベット スティングレイ」の感触を微調整することができる。Weather、Tour、Sport、Trackの各モードは継続し、新たに「マイモード」と「Zモード」の2つの新しいモードが加わった。
●「マイモード」を選択すると、キーをオフにしても、次に乗るときには自分の好みに合わせて調整したドライビングスタイルの設定を維持。
●「Zモード」は、Z06、ZR1、Z51といったコルベットのパフォーマンスパッケージにちなんで名前が付けられ、ステアリングホイールの「Z」ボタンで作動。これはマイモードの設定をさらに一歩進めるシングルユースモードで、ドライバーはエンジンとトランスミッションの調整を行うことも可能。
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」は、ケンタッキー州にあるGMのボウリンググリーン工場で2019年下旬からプロダクションが開始される。価格設定およびパッケージング情報は、発売開始近くに発表される予定だ。
また、コルベットでは初めて右ハンドル車が生産されることが決定し、日本市場に導入される予定となっている。
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