「当面の間、新たな自動車会社がF1に参入することを期待するのは難しいだろう」
そう考えているのは、今年5月からマクラーレンのチーム代表を務めているアンドレアス・ザイドルだ。
2週間前にF1オーストリアGPが開催されたレッドブルリンクにおいて、前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが数年前にフォルクスワーゲンの傘下にあるアウディあるいはポルシェを新たにF1に参戦させようと交渉したものの、それはうまくいかなかったと語っていた。
マクラーレンの新チーム代表に就任したザイドルは、WEC(世界耐久選手権)の最高峰カテゴリーLMP1で2015年から2017年にかけて3連覇を飾ったポルシェ・チームを率いていた人物だ。
43歳のザイドルは母国ドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「現在、自動車会社が(F1に)参入するのは非常に難しいと思う」
「だから、私としては2021年以降も今とあまり変わらないレギュレーションにする方が理にかなうと思っている。すでにパワーユニット(F1エンジン)の差も小さくなってきているわけだからね」
ザイドルは、現在の自動車産業がより“クリーン”なエンジン開発を目指している以上、F1が今後新たな自動車メーカーの参入を促進するためにも現行の“ハイブリッド方式エンジン”を継続する方がいいと考えている。
「そうすれば、新たなメーカーをF1に呼び込むチャンスもがあるかどうかを見極めることもできる」
そう語ったザイドルは次のように続けた。
「自動車産業は現在電化による変化を進めているところだ。だからこそ私は次のルール変更でもハイブリッド化を進めるべきだと考えているんだ」
「そしてF1を魅力的なスポーツにするためにも、参入コストを現状よりもかなり下げていかなくてはならない」
「現時点では、我々は現実的でなくてはならない。現在参戦しているチームたちと戦うために必要な額を新たなメーカーが投資すると考えるのは難しいよ」
ザイドルはそう語ると、次のように付け加えた。
「設備のために投資しなければならない額や予算は莫大なものになるからね」