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進展に注目が集まるベッテルのペナルティー問題

2019年06月12日(水)19:11 pm

フェラーリでは先週末に行われたF1カナダGP決勝でセバスチャン・ベッテルに5秒ペナルティーが与えられた件に対し、正式に異議申し立てを行う準備を進めているようだ。

実際のところ、FIA(国際自動車連盟)の競技委員たちが下した裁定を覆す可能性があるだけの新証拠が提示されることがなければ、正式に申し立てが受理され、改めて聴聞が行われる可能性は小さいと考えられている。

だが、フェラーリのスポークスマンは申し立ての期限となる13日(木)を前に『DPA通信』に対し「我々は異議申し立てを行う予定だ」と語った。

フェラーリの内部事情に精通したジャーナリストとして知られるレオ・トゥッリーニは自身のブログに次のように綴っている。

「表向きの理由によりその訴えがなされるのかどうかは疑わしく思っている」

「しかし、今回の反応は非常に大きく、常識が勝利できるかもしれない」

■ファンの気持ちは「理解できる」とロス・ブラウン

今のところ、F1オーナーであるリバティ・メディアはこの件に関して積極的に関与する姿勢は見せていない。

リバティ・メディアの指名を受けてF1モータースポーツ担当マネジングディレクターを務めているロス・ブラウンは次のように語っている。

「今回の裁定に関して意見を言うつもりはないよ。そうするのは間違ったことだと私は考えているからね」

ブラウンは、競技委員たちには「大きな敬意を払っている」ものの、今回のペナルティーによりベッテルが勝利を奪われたことを受け入れるのはF1ファンにとっては「非常に難しいこと」であるのも理解できると語り、次のように続けた。

「それゆえ、競技委員たちがファンに今回の裁定について説明し、どのようにこれに取り組んだのかを詳しく話すような機会を設けるといった解決策がとれるようFIAとともに取り組むことが役立つかもしれない」

ブラウンはさらに、今回の裁定を行った競技委員たちが何らかの「隠された思惑」を抱いていたわけではないとも主張している。

■感情で判断してはならないとピロ

一方、今回のベッテルのペナルティーにより自分たちに優勝が転がり込む形となったメルセデスのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)は、今回の裁定に関与した競技委員たちを悪者扱いすれば、今後誰もその仕事をしたいとは思わなくなるだろうとの懸念を表明している。

今年カナダGPで競技委員を務めた人物のひとりはイタリア出身の元F1ドライバーであるエマニュエル・ピロだ。ピロは、今回の裁定に対してナイジェル・マンセルやマリオ・アンドレッティらを含む多くの元F1ドライバーたちが批判を行ったことで辛い思いをしたのは事実だと認め、イタリアの『Formula Passion(フォルムラ・パッシオン)』に次のように語っている。

「世界とレースは変わったんだ」

「レースファンのひとりとしては、私もレースがこういう終わり方をしたのは残念だ。こういう裁定を行うのは簡単なことではない。だが、何よりもスポーツには誠実さが優先されるんだ」

「手短に言えば、理由が感情や情熱に勝たなくてはならないんだ」

■ベッテルに厳しい処罰を与えるべきとの声も

一方、今回の裁定に不満を抱き、義務づけられているレース直後のインタビューをすっぽかし、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のF1マシンの前に置かれた1位のプレートを2位のものと置き換えるといった行動をとったベッテルにはさらなるペナルティーを与えるべきだとの声もある。

ベッテルと同じドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、今回ベッテルがレース後に行った行為は「本当に恥ずべきものだ」と語っている。

また、スペインの日刊スポーツ紙『Marca(マルカ)』は、「統括者(FIA)やほかの競技者たちを傷つけるああした感情の爆発や侮辱行為はそれにふさわしい制裁を受けるべきだ。マックス・フェルスタッペンがエステバン・オコンを突き飛ばしたときと同じように」と書き、次のように付け加えている。

「UEFA(欧州サッカー連盟)なら、ためらうことなく彼を6レースから8レースの出走禁止に処すだろう」

ともあれ、フェラーリが正式に異議申し立てを行うのか、その場合、事態がどのように進展するのか、今後の動向に注目が集まるのは間違いない。

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