先週末のF1モナコGPを終え、フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットがこれからもメルセデスとの差を縮めるための取り組みを続けていくと主張した。
モナコGPではセバスチャン・ベッテルが2位に入り、形の上ではフェラーリがメルセデスの連続1-2フィニッシュにストップをかける結果となった。
だが、実際のところレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがタイムペナルティーを受けることがなければベッテルは3位にとどまっていたはずだ。
しかも、モンテカルロ市街地サーキットでポイントリーダーのルイス・ハミルトン(メルセデス)と接戦を演じていたのはフェルスタッペンの方であり、少なくともモナコにおいてフェラーリはレッドブル・ホンダのパフォーマンスにも届かなかったというのが事実だ。
現在ポイントランキングでは3番手につけているベッテルだが、今季6戦を終えた時点ですでにトップのハミルトンには55ポイントもの差をつけられている。
■カナダGPで正念場を迎えるフェラーリ
まだ今季も15レースが残されており、数字的にベッテルのタイトル獲得もまだ不可能だと決まったわけではない。だが、実際のところ、次戦カナダGP(6月9日決勝)でももしフェラーリがメルセデスに敗れることがあれば、もう反撃のチャンスはなくなるだろうと考えている者が多い。
というのも、カナダのジル・ビルヌーブサーキットはエンジンパワーに依存する割合が大きいサーキットであるため、その部分においてはメルセデスのパフォーマンスをしのいでいると考えられているフェラーリにとっては大きなチャンスとなるはずだからだ。
だが、フェラーリの技術トップでもあるビノットは次のように語った。
「カナダでのレースは今季の最終戦ではないよ」
「グランプリごとに改善し続けることが必要なんだ。我々は今年起こった問題を解決するためのプログラムを作成した。そのための懸命な作業がマラネロ(フェラーリ本部)で行われているよ」
■可能な限りいい準備をするしかないとビノット
しかし、ビノットは現在の状況を一転させるための特効薬があるわけではないと認め、次のように続けた。
「(カナダでの)クルマはモナコと同じものだし、我々にできる唯一のことは可能な限りいい準備をすることだけだ」
「バルセロナ(第5戦スペインGP)のときよりはいい状態でカナダを迎えられるだろうと思っている。だが、現時点ではメルセデスが最強だし、最高のクルマを持っているよ」
ともあれ、フェラーリにのしかかるプレッシャーが日増しに強くなってきているのは確かだ。とりわけ、母国イタリアのメディアはかなり辛辣な報道を繰り返している。
「チームの誰もが今の状況は認識しているよ。それをひっくり返そうと全員がやる気になっている」
そう語ったビノットは次のように付け加えた。
「私は、プレッシャーに負けてしまうとは思っていないよ。我々は自分たちの仕事に完全に集中しているし、周囲の雑音に耳を傾ける時間などないしね」