メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、自分たちはフリー走行でわざとペースをあげずにライバルたちを欺こうとしているわけではないと主張した。
今季まだ1勝もあげることができていないフェラーリだが、先週末にバクー市街地コースで行われたF1第5戦アゼルバイジャンGPのフリー走行ではフェラーリが3セッション連続で1-2体制を築き、今度こそはフェラーリが勝利を手にするのかと期待されていた。
だが、フェラーリファンの期待もむなしく本番ではメルセデスが強さを発揮。予選で今季3度目となるフロントロウ独占に成功したメルセデスは決勝でも4戦連続での1-2フィニッシュを決めている。
こうしたことから、メルセデスはフリー走行では本当の力を見せず、ライバルたちを欺いているのではないかと考えている者も少なくないようだ。
■ここまではすべてがうまくかみ合っただけだとメルセデス
しかし、ヴォルフはこうした声に対して次のように語った。
「我々は誰も欺こうとなどしていないよ」
「みんなは“もうたくさんだ。これで4度目だ”と言うかもしれない。だが、実際のところ、我々には自分たちの新車をよく理解し、改善しなくてはならないことがたくさんあると考えているんだ」
「我々が序盤にうまくやれたのは多くの要素がからんだからさ。チームはひとつもミスを犯さなかったし、正しい戦略決定を行った。そしてドライバーたちも完璧だったよ」
「そのすべてがそろったから我々が最初の4レースで勝利することができたんだ。一方、ライバルたちはもっと問題を抱えてしまっていた」
■フリー走行の結果を過大評価するのは間違いだとフェラーリ
フェラーリのチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、そのヴォルフのコメントにうそはないと考えているようだ。
「これまで何度も言ってきたが、フリー走行の結果を過大評価すべきではないよ」
「チームはそれぞれ違うプログラムに取り組んでいる。燃料搭載量も違うし、エンジンのセッティングも違う。だから、そこで結論を導き出すのは非常に困難なことなんだ」
とは言え、ビノットもシャルル・ルクレールが予選Q2でクラッシュするまでは彼がバクーでポールを獲得する可能性があると考えていたのは間違いないと認めている。
ビノットはさらに次のように続けた。
「レースに関しても、いくつかの理由がある」
「一例をあげれば、自分が前にいるのか、あるいは誰かの後ろにいるのかによってタイヤの使い方が違ってくるんだ。自分の前に誰もいないときの方が運転はかなりしやすくなるんだ」
そう語ったビノットは、次のように付け加えている。
「そしてもちろん、我々のライバルたちも非常に強かったよ」