レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、今週末のF1アゼルバイジャンGP(28日決勝)に投入されるホンダの新スペックエンジンは以前のものより20馬力も向上していると語ったのは間違いだったと認めた。
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マルコは先週、ホンダが予定していたよりも早くスペック2エンジンをバクーで開催される今季の第4戦アゼルバイジャンGPに投入予定であるとし、「ホンダからいいニュースが届いた。バクーでは、我々はさらに20馬力を得ることになる」と語っていた。
しかし、ホンダF1プロジェクトのテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、今回投入する新スペックエンジンのパワー向上は「わずか」だと公式プレビューの中で語っていた。
■20馬力向上はないとレッドブル首脳
そして、マルコもこのほどドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「20馬力向上するというのは正しくない」
「それよりは小さいよ。だが、信頼性の問題を抱えることなく、もっと長くエンジンを装着できる」
レッドブルのジュニアチームであるトロロッソのアレクサンダー・アルボンも今回投入される新スペックエンジンはパワー面ではそれほど大きな期待はできないだろうと示唆している。
「僕の理解では、今回の新スペックで一番改善されるのは信頼性だよ。パワーはそれほど増えないはずだ」
そう語ったアルボンは次のように付け加えた。
「だけど、長いストレートがあるサーキットだけに、1馬力でも向上するのは歓迎だけどね」
■トロロッソのICEはすでに3基目に到達
田辺豊治TDは公式プレビューではバクーでスペック2と呼ばれるICE(内燃機関)を投入するとだけ語っていたが、実際のところ今週末のレースにおいてレッドブルにはICEだけでなく、ターボ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)も新しいものが投入されている。
トロロッソに関してはICEだけが新規投入された形となっているが、すでにクラッシュなどで2基目のICEを使用していたトロロッソ勢はこれで3基目のICE投入となってしまっている。
今年はICE、ターボ、MGU-Hは年間3基まで、MGU-Kは年間2基まで使用可能となっており、この数を超えるコンポーネントを投入すればそれに応じたグリッド降格ペナルティーを受けることになる。
単純計算すれば、ペナルティーを受けないようにするためには7レースは同じエンジンで走る必要があるわけだが、4レース目で新エンジンを投入したということはホンダエンジン勢が今後どこかでグリッド降格ペナルティーを受ける可能性が非常に高くなったのは確かだ。
「次のステップ(新エンジン投入)はシーズン半ばを予定しているよ」とマルコは付け加えている。
■パワー向上が優先だとフェルスタッペン
だが、レッドブルのナンバー1ドライバーであり、現在ドライバーズランキング3番手に位置しているマックス・フェルスタッペンは、どこかでペナルティーを受けることになるのはかまわないと次のように語った。
「もしいくつか多くエンジンを使ったとしても、それでメルセデスやフェラーリとのギャップを縮められるのであれば僕は大満足だよ」
「僕は昨年、後方からのスタートでも表彰台に上れるということを示した。だからそれは大きな問題じゃないよ」
「コンマ2秒短縮できるこのエンジンを早めに手にしたいと思っていたんだ」
26日(金)に行われたアゼルバイジャンGPフリー走行2回目では、フェルスタッペンが2台のフェラーリと1台のメルセデスに次ぐ4番手につけたのを始め、トロロッソのダニール・クビアトが6番手、アルボンが8番手、レッドブルのピエール・ガスリーが9番手と、ホンダエンジンを搭載する4台すべてがトップ10に入っている。
だが、ガスリーはフリー走行2回目のセッション中に車両重量測定指示を無視したとして決勝でピットレーンスタートのペナルティーを科されることが決まっている。