今季のF1は伏兵とも言えるバルテリ・ボッタス(メルセデス)の開幕戦優勝で幕を開けることになった。
2018年シーズンには不調が続いていたボッタスだけに、今季開幕戦でボッタスの勝利を予想していた者はあまりいなかったはずだ。
来季はメルセデスとの契約下にあるエステバン・オコンにシートを奪われるのはほぼ間違いないだろうという報道さえされる中、ボッタスが抱えたフラストレーションも相当大きかったはずだ。
その証拠に、メルボルンのアルバート・パーク・サーキットで行われた今季開幕戦決勝でトップチェッカーを受けたボッタスは、無線で「関係各位。くそくらえ!」と叫んでいた。
ボッタスは後でこれまでの鬱積した気持ちがついああいう言葉になって現れたものだと釈明したが、あの“関係各位”とは誰を指していたのかということもいろいろうわさされている。
大方の見方では、2018年の成績不振に関して批判的なコメントを報道し、ボッタスのF1キャリアが今年で終わるのは間違いないといった論評を展開していたメディア関係者を指すものだろうと考えられている。
だが、あれは昨シーズン限りでボッタスへの支援を打ち切った元スポンサーのウィフリのことだろうと考えている者もいる。
ボッタスは、母国フィンランドに本拠を置くグローバル複合企業のウィフリから長年にわたって支援を受けてきていた。ところが今年に入ってすぐ、ウィフリが突然ボッタスのスポンサーから降りることを発表。
ウィフリを率いるアンティ・アールニオ・ウィフリはその際、その決定に至った理由のひとつはボッタスのパフォーマンスが低かったためだとコメントしていた。これがボッタスにとってはメディアの批判などよりももっと大きな痛手であり、ショックだったことは想像に難くない。
今回のボッタスの“関係各位発言”について質問されたアールニオ・ウィフリはフィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように答えた。
「ボッタスのコメントに触れるつもりはないよ」
「彼のコメントは彼自身のものだし、私はそれについて何か言える立場ではない」
だが、ウィフリがスポンサーから降りたとたんにボッタスが勝利を飾るとはアールニオ・ウィフリも思ってはいなかったのではないだろうか?
「私は驚いてはいないよ」と答えたアールニオ・ウィフリは、「メルセデスのクルマの調子がいいことは知っていたからね」と付け加えた。
だが、優勝したのが現F1チャンピオンであるルイス・ハミルトンではなく、ボッタスだったことには驚いたのではないかと尋ねられたアールニオ・ウィフリは次のように答えている。
「いや、ハミルトンのクルマはスタート時点から技術的不具合を抱えていたからね」
開幕戦を2位で終えたハミルトンのマシンはフロアにダメージを抱えていたと伝えられている。