レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、ホンダが近いうちにさらにエンジンパワー向上を実現すると約束したことを明らかにした。
■開幕戦でフェラーリに大きな差をつけたレッドブル・ホンダ
先週末にメルボルン行われた2019年F1開幕戦オーストラリアGPではメルセデスが1-2フィニッシュを達成。だが、それに続く3位となったのは下馬評の高かったフェラーリではなく、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。
決勝のスタートでポールシッターのルイス・ハミルトンからトップの座を奪うことに成功したバルテリ・ボッタスはその後も驚異的とも言えるペースでレースを支配。最終的にハミルトンに20秒もの差をつけてトップチェッカーを受けた。
そしてルノーに替えて今季からホンダエンジンを搭載しているレッドブルのフェルスタッペンもコース上で楽々とフェラーリのセバスチャン・ベッテルをオーバーテイクしてみせると、ハミルトンのすぐ後ろでトップから22秒ほどの遅れでチェッカーを受けている。
一方、4位となったベッテルはトップから57秒遅れでのゴールとなっている。つまり、フェラーリはレッドブル・ホンダにも35秒ほどの差をつけられていたことになる。
■レッドブル・ホンダはトップを狙えるとマルコ
レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるマルコは、この結果を受けてドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「我々はメルセデスの強さはメルボルンに限ったものだったことを期待しているよ」
「我々はフェラーリよりも前だった。だが、我々はほかの誰よりも前にいたいんだ」
■レッドブル・ホンダの今後の課題はシャシー改善
そのためにはレッドブルにもやらなくてはならないことがある、とマルコは次のように続けた。
「このパッケージで最高なのはホンダエンジンだよ。我々としては自分たちのシャシーを改善する必要がある」
「我々(のクルマ)はダウンフォースが小さすぎる。だが、それは過去5年間にとってきたやり方によってそうなってしまっていたんだ。常に(ルノーエンジンの)パワー不足をそれによって補う必要があったからね」
「我々がメルボルンで大きなウイングを手にしていなかったのはそれが理由だった。それは我々の想像の中には存在していないんだ」
「我々はCFD開発と製造を通じて出来る限り早急にこの問題を解決したいと思っているよ」
マルコが言及したCFDとはComputational Fluid Dynamicsの略で日本語では「数値流体力学」と呼ばれるものだ。コンピュータを用いてF1マシンが発生する空気の流れを解析することで、より空力的に有利なマシン製造を図る手法だと理解しておけばいいだろう。
■ホンダがさらなるエンジンパワー向上を約束
マルコはさらに、ホンダは現時点で10~20馬力あると想定されているメルセデスエンジンとの出力差を今後さらに縮めることを約束したと次のように続けた。
「メルボルンに来ていた(ホンダの)重役たちが、近いうちにもっと出力を向上させると約束してくれたよ」
「もしパワーが大幅に増加するのであれば我々は8番目のレースまで待つつもりはない。その場合にはレースのスタートでペナルティーを受ける覚悟もあるよ」
今年は昨年同様パワーユニットと呼ばれるエンジンの主要コンポーネントに年間3基までという制限があり、それを超える数のコンポーネントを投入するとそれに応じたグリッド降格ペナルティーが科せられることになる。全21戦で戦われる今シーズンをエンジン交換ペナルティーを受けることなく乗り切るには少なくとも7レースは同じエンジンで戦う必要があるわけだが、マルコはホンダエンジンのパワーが向上すればペナルティーを受けることもいとわないと主張しているわけだ。
「そうなれば、我々の前にいる者たちに追い付けるかどうかは我々のシャシー開発次第だということになる」とマルコは付け加えている。
■フェルスタッペンもホンダを賞賛「昨年までとは全然違う」
昨シーズンまで公然とルノーエンジン批判を繰り返していたフェルスタッペンも、今季搭載したホンダエンジンには満足しているようだ。
フェルスタッペンは母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』に次のように語った。
「本当にまったく違うエンジンだよ。だけど、僕は以前使っていたものと比較したいとは思わない。誰かを怒らせたくはないからね」