最近、ウィリアムズに関する新たなうわさがいくつかささやかれるようになっている。
■今年も最初からつまずいたウィリアムズ
ホンダエンジンで2回、フォードエンジンで2回、そしてルノーエンジンで5回、合計9回コンストラクターズチャンピオンに輝いた実績を持つ名門F1チームのウィリアムズだが、ここ数年は厳しい状況に置かれてしまっている。
2014年と2015年は強力なメルセデスエンジンの助けを借りてランキング3位と名門復活の兆しを見せたウィリアムズだが、2016年と2017年には5位にランクを下げ、2018年は最下位の10位というどん底にまで落ちてしまった。
今年も全10チーム中唯一F1公式プレシーズンテスト開始までに新車が間に合わないという失態を演じてしまったウィリアムズだが、当然のようにテストでもいいパフォーマンスを発揮することはできずに終わっている。
さらに、最近の報道ではウィリアムズの2019年型マシンに違法な箇所があることが判明し、来週末に行われる開幕戦オーストラリアGP(15日開幕/17日決勝)までにその手直しをするよう統括団体であるFIA(国際自動車連盟)から求められているという。
■技術トップ更迭でさらにチーム財政がひっ迫?
こうした中、ウィリアムズは技術トップの座にあったパディ・ロウが「休暇」に入ったと発表。もちろん、関係者の間ではこれは事実上の「更迭」だと信じられている。
しかも、株主でもあるロウを更迭することによって、ウィリアムズとしては多額の費用負担が必要になるだろうとうわさされている。今季ロキット(ROKiT)という新たなタイトルスポンサーを獲得したとは言え、これまで慢性的な資金不足に苦しめられてきたウィリアムズにとってはロウの更迭がさらに大きな負担を生むのではないかとの見方もあるようだ。
■ロウの後任としてスメドレイが復帰?
さらに、現時点では技術トップ不在となってしまったウィリアムズだが、昨シーズン限りでウィリアムズを離脱してFIAの技術コンサルタントとなったエンジニアのロブ・スメドレイが再びウィリアムズからロウの後任として迎えられるのではないかとのうわさもささやかれている。
■ウィリアムズがピレリにテストカーを提供?
また、最近になってささやかれるようになったもうひとつのうわさは、ウィリアムズがF1公式タイヤサプライヤーであるピレリに、18インチホイール用タイヤ開発のためのテストカーを提供することになるのではないかというものだ。
2020年以降もF1タイヤサプライヤーを継続することが決まっているピレリだが、2021年からは現在の13インチホイールに代わって18インチホイールがF1に導入されることになっている。
今年中盤以降、本格的に18インチホイール用タイヤの開発に取り組むことを明言しているピレリだが、最大の課題はその開発に利用するF1マシンをどうするかということだ。
ピレリのF1プロジェクト責任者であるマリオ・イゾラは次のように語っている。
「現時点における最大の問題のひとつが、適切なテストカーを見つけることだ」
だが、それは簡単なことではない。というのも、あるチームが18インチホイールを装着できるように改造したマシンをピレリに提供した場合、ピレリは当然ながらそのクルマで最大のパフォーマンスを発揮できるようにタイヤを開発することになる。
ということは、ピレリが開発する新たな18インチタイヤは、そのテストカーを提供したチームのクルマとの相性が最もよくなる可能性が高いわけだ。
このため、F1チームたちはライバルチームたちがピレリにテストカーを提供することに対し疑心暗鬼の目を向けており、ピレリがテストカーを用意できない事態も想定されている。
■ウィリアムズならライバルチームも納得?
だが、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』はこの件について次のように報じている。
「エンジニアたちは(テストカーによって生じる)不公平なアドバンテージを懸念している」
「だが、大きく取り残されてしまっているウィリアムズなら問題なさそうだ」
「ウィリアムズがテストカーを提供することに興味があるか、あるいはそれに意味があるのかどうか、それは我々には分からない。もし彼らが断れば、ピレリは違う解決策を探す必要がある」
右腕に大けがを負ったロバート・クビサが奇跡的とも言える復帰を果たすことが大きな話題となっている今季のウィリアムズだが、チームそのものもいかに現在の苦境を乗り越えていくのかに大きな注目が集まることになりそうだ。