F1オーナーのリバティ・メディアが、今月29日(金)にイギリスがEU(欧州連合)から「合意なき離脱」をすることになった場合に備えるための「緊急対応計画」を練っているようだ。
イギリスのブラックリーなどにファクトリーを構えるメルセデスF1チームのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)はすでに、多くのF1チームがイギリスに拠点を置いているだけに、もしもイギリスがこのままEUから離脱することになればF1は大混乱に巻き込まれることになるだろうと警鐘を鳴らしている。
■F1チームの支援準備に動いたリバティ・メディア
F1の最高責任者であるチェイス・キャリーは、リバティ・メディアもこれによってさまざまな問題が発生する可能性があることは認識していると次のように語った。
「何が起きるのかということについては、誰もが知っていること以上のことは我々には分からない」
「イギリス内外の人々や物事をより困難な状況に陥れるような問題が発生する可能性があるだけに、我々もそれに確実に対応していこうと緊急対応計画を作成しているところだ」
例えば、リバティ・メディアは現時点においてもF1チームたちに機材をイギリス内外へ輸送するための支援を行っているという。
「もちろん、我々はそれらをどこかに持ち込んだり、そこから持ち出したりすることができる」とキャリーは付け加えた。
■長期的成長計画が重要だとキャリー
一方、リバティ・メディアがオーナーとなって以来、F1の収益が年々減っていると報じられている。
F1ビジネス記者として知られるクリスチャン・シルトが『Forbes(フォーブス)』に書いた記事によれば、もし現在開催されているF1レースのうち5か所が契約を更新しなければ、F1はさらに1億3000万ドル(約145億円)を失うことになるだろうという。
だが、キャリーは、リバティ・メディアは「長期的に成長していく基盤作りに取り組んでいる」ところなのだと主張し、次のように続けている。
「我々は、このスポーツは歴史的に短期目標しか持たずにきたという感覚を持っていた。我々は成長できる基盤を作りたいと思ったんだ」
F1の収益減少は今後の成長戦略に向けた一時的な現象に過ぎないと示唆したキャリーは、リバティ・メディアは逆に「新たな勢い」をF1にもたらすことができていると次のように付け加えている。
「過去2年間において、F1はソーシャルメディアにおいて最も急速に発展したスポーツだよ。我々は2019年と2020年には何が待ち受けているのか、非常にワクワクしているところだ」