昨年のF1コンストラクターズランキング8位だったチームが2019年F1シーズンのダークホースとなるのではないかと考えている者が多いようだ。
そのチームとはスイスに拠点を置くアルファロメオ・レーシングだ。昨年はアルファロメオ・ザウバーとしてエントリーしていたチームだが、今季はザウバーという文字がチーム名称からはずされている。
そのアルファロメオはバルセロナで行われた先週のプレシーズンテスト1回目で予想以上のパフォーマンスを発揮。その空力コンセプトをメルセデスやレッドブルがコピーするのではないかとうわさされるほどの速さを見せており、現時点では最強の位置にいると言われているフェラーリのセバスチャン・ベッテルも今年のザウバーは「すごくいい」と語ったことが報じられている。
■アルファロメオ躍進の陰にフェラーリの存在
実際のところ、ザウバーが近年フェラーリとの関係強化に動いてきたことはよく知られている。昨年はフェラーリのアカデミードライバーであったシャルル・ルクレール(フェラーリ)にF1デビューのチャンスを与え、今年も同じくフェラーリとの契約下にあるアントニオ・ジョビナッツィをフルタイムドライバーに起用するなど、すでに事実上フェラーリの「Bチーム」として機能していると言われている。
そのアルファロメオの2019年型マシンを設計したのは、やはりフェラーリから昨年7月に移籍したシモーネ・レスタだ。昨年までフェラーリのチーフデザイナーだったレスタによるアルファロメオF1マシンが昨年よりも大きく改善されたのは間違いないようだ。
■アルファロメオは「速い」とライコネン
やはりフェラーリから移籍してきたキミ・ライコネンも、ドイツのテレビ局『RTL』に次のように語っている。
「クルマの感触はいいし、速いよ」
「だけど、F1ではすべてのクルマが速いんだ。たとえ遅いクルマでもね」
しかし、「アイスマン」というニックネームを持つライコネンだけに、2019年型アルファロメオF1マシンについてメディアに多くを語ろうとはしなかったようだ。今年のマシンの秘密を教えてくれと尋ねられたライコネンは、ただ「速いんだ」と答えるのみだったという。
また、昨年乗っていたフェラーリと比べるとどこが違うかと尋ねられたライコネンは次のように答えている。
「(技術)ルールが変わったから、これがクルマの見た目や挙動に影響を及ぼしている。だけど、ここまでのところクルマはうまく機能しているよ」
「最初のレースで、ほかのチームと比べて僕たちがどうなのかということが示されるだろう。今の時点では当て推量しかできないよ」
■アルファロメオとライコネンには要注目
しかし、現在はイギリスでテレビのF1解説者を務めている元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、今年のアルファロメオとライコネンには注目すべきだと考えている。
「(予想するには)まだ早いが、アルファロメオは強力なクルマを手にしたように見えるね」
「フェラーリではセブ(ベッテル)の方が明らかに優先されていたが、キミのああいう性格からすれば、それをあまり変えようとはしていなかったと思う」
ライコネンの母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』にそう語ったハーバートは次のように付け加えた。
「だが、今のアルファはよさそうだし、キミもより多くのエネルギーを得ているように見えるよ」