数名のF1チーム首脳たちが、2019年F1シーズンに新しい空力レギュレーションが導入されるが、それによってコストが増加する反面、期待されているようなオーバーテイク増加にはつながらないのではないかとの懸念を表明している。
現在のF1空力ルールは車体を地面に押しつけるダウンフォースを多く稼げる仕様となっており、F1マシンのラップタイムは大きく改善されてきている。
反面、F1マシンが起こす乱気流によって後ろを走行するマシンが大きく影響を受けてしまい、オーバーテイクを試みることが非常に難しくなっていると指摘されている。
これを改善するために2019年には新たな空力レギュレーションが導入されることになっており、これによって乱気流の発生を抑え、コース上のオーバーテイクが増加するものと期待されている。
だが、各チームはすでにその新レギュレーションに合致する2019年型マシンの設計に取りかかっているが、風洞テストによれば、新たな空力パーツによってオーバーテイクが増加するとは考えにくい結果が出てきているという。
フォース・インディアのテクニカルディレクターを務めるアンドリュー・グリーンはこれに関してドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「ほかのクルマの後ろでのドライビングが今より楽になることはないだろう」
トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストも同意見のようだ。
「風洞担当者たちと話し合ったのだが、彼らはオーバーテイクがもっと簡単になるとは考えていないよ」
そう語ったトストは次のように付け加えている。
「来シーズンが始まるころには、チームたちは現在と似たようなレベルのダウンフォースを得るだろうと思っているよ」
さらに、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも次のように語っている。
「我々のシミュレーションによれば、何も変わらないよ。オーバーテイクは依然として困難だ」
「この取り組みは単に金の負担を強いられるだけだ」
マルコは、これまでよりも幅広となるフロントウイングはホイール・トゥ・ホイールでのバトルが展開されるような場合に接触してダメージを負いやすくなるというデメリットもあると指摘し、2021年以降に向けてしっかりとしたルール策定を行う必要があるだろうと次のように付け加えた。
「こういう当てずっぽうなやり方を再びやるわけにはいかないからね」