レッドブルのドライバー育成責任者として知られるヘルムート・マルコが、ジュニアチームであるトロロッソのドライバー候補者リストにパスカル・ウェーレインの名前があることを認めた。
現在トロロッソ・ホンダのドライバーを務めているのはピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーだが、ガスリーは2019年にレッドブルへ昇格することが決まっている。そしてその後任には昨年までトロロッソに所属していたダニール・クビアトが復帰することが確定している。
■来季もトロロッソ・ホンダで走りたいハートレー
だが、ハートレーに関しては期待された結果が出せていないこともあり、来季も残留できるかどうかは不透明な状況だ。
ニュージーランド出身ドライバーである28歳のハートレーは現在の状況について次のように語った。
「結果はついてきていないものの、僕はすべてのレースで強さを増してきたことが分かっている」
「僕は1レースごとに自分にできる最高の仕事をすることに集中しているし、来年もグリッドにつくことができるよう期待しているよ」
■ウェーレインの名前もリストにあるとマルコ
しかし、マルコは現時点ではハートレーの後任ドライバーを検討していることを認め、その候補者リストには多くの名前があると語っている。
ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』によれば、マルコはその候補者リストをアルファベット順に並べ替えるとウェーレインの名前は「かなり下の方だよ」との冗談を口にしたという。
■新たな候補者登場?
実際のところ、そのリストに名前がありそうなドライバーのうわさはこれまでにもかなりささやかれてきている。だが、このほどまたそこに1人の名前が新たに加えられたようだと言われている。
それはイギリス生まれのタイ人ドライバーであるアレクサンダー・アルボンだ。アルボンは2016年にはGP3で年間ランキング2位となっており、2017年にはF2で10位、そして今年2年目を迎えたF2で現在ランキング2番手につけている。
マルコとしては一時レッドブルのジュニアドライバーであり、今季ヨーロッパF3選手権に参戦しているダン・ティクトゥムを2019年にF1デビューさせたいと考えていたものの、ティクトゥムはF1昇格に必要なスーパーライセンスポイントが足りないため、それは事実上不可能な状態だ。
一方、アルボンの方は今季のF2をランキング5位以上で終えればF1昇格に必要なスーパーライセンスポイントに届く状態であり、その問題は心配する必要はなさそうだ。
実際のところ、アルボンは2012年にレッドブルのドライバー育成プログラムに参加していたこともある。さらに、今年はメルセデスのファクトリーでシミュレーター作業も経験したようだと報じられている。
■アルボン起用には契約上の問題も
だが、アルボンが2019年にトロロッソ・ホンダのドライバーとなるにはほかの障害がありそうだ。というのも、アルボンはフォーミュラEの2018-2019年シーズンに日産e.damsチームからセバスチャン・ブエミのチームメートとして出走することがすでに決まっているためだ。
現時点でF1が公表している2019年の暫定カレンダーを見ると、全13戦で行われるフォーミュラEの2018-2019年シーズンのレースのうち8レースがF1の日程とバッティングすることになり、F1とフォーミュラEのかけもちは不可能な状態となる。
■本命はハートレーかウェーレイン?
そうした状況を考えれば、すでに1年トロロッソで経験を積んだハートレーの続投か、あるいは2016年にマノー、2017年にザウバーで2年のF1経験を持ち、そのいずれでもチームメートよりも好成績を残したウェーレイン起用のいずれかに絞られる可能性が高そうだ。
ウェーレインはすでに所属していたメルセデスとの契約も解除されており、契約面での障害もなくなっている。
一方、先週末に鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP予選ではピエール・ガスリーよりも上位となる6番手という結果を残したハートレーだが、残念ながらレースは13位で終えてしまっている。
ハートレーが来季もトロロッソ・ホンダの一員として残ることができるかどうかは、今季の残り4レースでどれだけマルコやチーム首脳陣を納得させられるようなパフォーマンスを見せられるかにかかってきそうだ。