セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が鈴鹿サーキットで行われたF1日本GP決勝で見せた強引なアタックに関し、2人の元F1チャンピオンがそれぞれに違う見解を示している。
■フェルスタッペンへのアタックが致命傷となったベッテル
ランキングトップのハミルトンに50ポイントもの差をつけられていたベッテルにとって、2018年のF1ドライバーズタイトル獲得の望みをつなぐためには鈴鹿での勝利が絶対条件だった。
日本GP決勝を9番グリッドという不利な位置からスタートしたベッテルだが、それでも2周目には3番手のマックス・フェルスタッペンに続く4番手に浮上。
しかし、9周目にベッテルがターン13で強引にフェルスタッペンのインサイドに入ろうとした際に両者が接触。これでスピンを喫したベッテルは最後尾にまで順位を落としてしまい、事実上そこで勝利のチャンスは消えてしまっていた。
■ベッテルは無用のミスを犯したとビルヌーブ
そのベッテルのアタックに関して、またもやこのミスによって自らチャンスを逃してしまったと批判する者もいれば、ベッテルとしてはあそこでリスクを冒してでもハミルトンとの差を縮めることが必要だったのだと擁護する者もいる。
1997年のF1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、あれは完全にベッテルのミスだったと考えている。
「彼が追い抜きにかかったときはまだかなり後方にいた。マックスだって『どうぞお先に』と言うわけにはいかなかったよ。ベッテルはなんとかしようとしたし、汚いまねをしたわけではない。だが、あれはあまりにもリスキーだったよ」
イタリアのテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にそう語ったビルヌーブは次のように続けている。
「彼は今シーズンについて“F1タイトルを失う方法”というタイトルの本がかけるだろうね」
「今年、彼とハミルトンが決定的に違うところは、ルイスはアタックをしかける前にまず状況をしっかりと見極めていることだよ」
■ベッテルはリスクを冒す必要があったとハッキネン
一方、1998年と1999年にマクラーレンで2年連続F1チャンピオンに輝いたミカ・ハッキネンは、ベッテルはあそこでリスクをとってでもフェルスタッペンを攻撃する必要があったのだと主張している。
「彼の状況からすれば、彼は最大限の結果を得るためにはあらゆることに挑戦する必要があったんだ。彼もメルセデスがどれほど強いのかを知っていたしね」
「全力で攻撃をしかけなければ、彼は何も手にすることができない。確かに、彼は大きなリスクを負った。だが、それもF1というゲームの一部に過ぎないよ」
■ベッテルはもうあきらめているとビルヌーブ
あのベッテルのアタックが正しかったのか間違いだったのかはともかく、鈴鹿でハミルトンが優勝、ベッテルが6位に終わったことでベッテルとフェラーリのF1ドライバーズタイトル獲得のわずかな望みも消えてしまったのは間違いないだろう。
ビルヌーブは次のように語っている。
「すでにこの前のレースで、彼はもう自分に勝ち目はないということを受け入れていたのが分かったよ」
「彼はすでにかなりリラックスしているのが分かるはずだ」
■フェラーリ後退の理由は謎
そのビルヌーブも、どうしてシーズン中盤まで強さを見せていたフェラーリから突然勢いが消えてしまったのかという疑問には頭を抱えているようだ。
「フェラーリを理解するのは簡単なことではないね。単に彼らが何レースかで負けたというような単純な話ではないんだ」
ビルヌーブはそう語ると次のように付け加えた。
「いくつかのミスを犯して以来、彼らはまったく調子を取り戻すことができていない。その理由を外部から理解するのは不可能だよ」