7度F1チャンピオンとなったミハエル・シューマッハのDNAを引き継いだ息子のミック・シューマッハがついにその才能を示し始めた。
■突然強くなったミック
昨年ヨーロッパF3選手権への挑戦を開始したミックだったが、参戦初年度のランキング12位とふるわず、今年も同シリーズにとどまることになった。
そして迎えた2018年シーズンだが、第4ラウンドまでの合計12レースを終えた時点では2度3位表彰台があったものの、さほど目立った活躍はできていなかった。
ところがスパ・フランコルシャンで行われた第5ラウンドの第3レースでF3初優勝を遂げると、シルバーストンで開催された第6ラウンドの第2レース、ミサノでの第7ラウンド第1レースでも優勝。そして先週末にニュルブルクリンクで行われた第8ラウンドでは3レースすべてで優勝するという圧倒的な力を発揮。中団に位置していたランキングも一気にトップと3ポイント差の2番手に浮上したのだ。
■F1昇格も現実的に
どうしてミックが突然これほどまでに強くなったのかと質問された元F1ドライバーのミカ・サロは、母国フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように答えた。
「どう言っていいか分からないね」
「彼はこのシリーズで2年目を迎えているが、突然ライバルたちよりも速くなったんだから、何かが起きたんだろうね。誰にもその理由は分からないよ」
体内に封印されていた父親の遺伝子が突然解き放たれたかのような印象を受けるミックの活躍ぶりだが、当然ながら周囲は早い段階でのF1昇格を期待することになりそうだ。
その可能性について尋ねられたサロは次のように答えている。
「もちろんあるさ。下位カテゴリーであのようなレースができれば、優れたドライバーだということだからね」
■2019年はF2挑戦か
だが、今季最終的にミックがどういう成績でF3を終えるかどうかは分からないものの、すぐにF1に進むよりはもう1年F1直下のカテゴリーであるF2でもっと腕を磨いてからのほうがいいという考えもある。
「彼はF2でやれるだけに成熟してきたと思う」
そう語った元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは次のように付け加えた。
「もし彼がそこ(F2)でうまくやれれば、F1キャリアに向けていいチャンスが出てくるよ」
最近の情報によれば、ミックは来季F2シリーズのトップチームであるARTグランプリに加わる可能性が高いと見られている。ARTグランプリは現在ザウバーのチーム代表を務めているフレデリック・バスールとニコラ・トッドが共同設立したチームだ。
ニコラ・トッドの父親であるFIA会長のジャン・トッドはかつてフェラーリのチーム代表としてミハエル・シューマッハとともにフェラーリ黄金時代を築いたことで知られている。