メルセデスを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)が、フェラーリのセバスチャン・ベッテルを擁護する発言を行った。
現時点ではフェラーリが今季最速のF1マシンを手にしていると考えている者が多い。だが、F1チャンピオン争いにおいてはルイス・ハミルトン(メルセデス)が2番手のベッテルに対して30ポイント差をつけてリードしている。
F1では何が起きるか分からないものの、残り7レースとなった時点での30ポイント差はかなり大きいのが事実だ。
■ミスが多いと批判されるベッテル
前戦F1イタリアGPではフェラーリ勢が最前列から並んでスタートしたものの、1周目のターン4でベッテルとハミルトンが接触。これによりスピンしたベッテルは最後尾にまで順位を下げてしまった。ベッテルは結局4位にまでばん回したものの、レース終盤にキミ・ライコネン(フェラーリ)をとらえて逆転優勝を飾ったハミルトンにポイント差を広げられてしまった。
ベッテルはホームレースの第11戦ドイツGPでもトップを快走していた時にウォールにクラッシュするというミスを犯して貴重なポイントを取り損ねていた。こうしたことから、F1関係者やファンの中にはベッテルにはミスが多過ぎると批判的なコメントをしている者も少なくない。
■ベッテル批判はフェアではない
だが、ヴォルフはライバルチームのベッテルに関してドイツの『Die Welt(ディー・ヴェルト)』に次のように語った。
「私は完全に中立な立場ではないが、私に言わせればここ数年における最高のドライバーはルイスだよ」
「とは言え、私はセバスチャンに対する批判はまったくフェアではないと思っている」
「勝つ可能性があれば、彼は必要とされる攻撃性を発揮してそれを狙うという野心を持っている」
「そうするためには大きな勇気が必要とされるし、彼のドライビングが時として衝突につながることもある」
「だが、忘れてはならないのは、彼は4回F1タイトルを勝ちとったということだ。私もルイスに対してはそうだが、みんなもそれ(攻撃性)は受け入れなくてはならないよ」
■運や偶然に左右されるのもF1
「(イタリアGPでは)セバスチャンではなくルイスの方がスピンしていた可能性だってあるんだ。そうなっていたらF1グランプリ全体が違う形になっていただろう」
そう続けたヴォルフは次のように締めくくっている。
「F1というハイテクな世界では、すべてが単純明快かつ理性的に決まるわけではなく、運や不運、そして偶然によって決定されることもあるんだ」