元F1ドライバーのジャック・ビルヌーブは、ランス・ストロールは今すぐウィリアムズを去ってフォース・インディアに移籍すべきだと考えている。
1997年にビルヌーブがF1チャンピオンとなって以来、ウィリアムズはF1タイトルから遠ざかってしまっている。そのウィリアムズで2017年にF1デビューを飾ったストロールに関してはカナダのファッション業界の大物として知られる父親のローレンス・ストロールによる強力な資金援助のおかげでF1ドライバーになれたのだと言われることが多い。
そして最近、ローレンス・ストロールを中心とする投資家集団が経営破たんに陥ったフォース・インディアを買収することが明らかとなった。これにより、ランス・ストロールが来季フォース・インディアへ移籍するのはほぼ確実だと見られている。
■ストロールはベルギーGPからフォース・インディアで走るべき
だが、ビルヌーブはカナダの『Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モンレアル)』に対し、ストロールは今すぐフォース・インディアに移るべきだと次のように語った。
「ランス・ストロールは今シーズンをフォース・インディアで終えるべきだよ。待つ必要はない。彼は今月末にベルギー(第13戦/26日決勝)で走るべきだ」
とは言え、現在フォース・インディアにはセルジオ・ペレスとエステバン・オコンという2人のドライバーが在籍しており、どちらも今シーズンの契約を持っている。
だがビルヌーブは「F1には何だってありだよ」と語り、次のように付け加えた。
「これまでにも目にしてきたじゃないか。シーズン中のドライバー交代も可能だということをね」
■ウィリアムズにとってストロール離脱はとどめの一撃に
ビルヌーブはかつて自分がF1ドライバーズタイトルを獲得したチームであるウィリアムズが今や「死につつある」との発言をしたことが報じられていた。
もしビルヌーブが主張するようにストロールがすぐにウィリアムズを離脱することになれば、チームとしては即座に貴重な資金源を失うことにもなりかねない。
ビルヌーブは、いずれにせよストロールがウィリアムズを離脱するのは間違いないだろうし、ウィリアムズがそれによって「とどめを刺される」ことになる可能性もあると認めている。
「ローレンスばかりかスポンサー(タイトルスポンサーのマルティニ)も失うわけだから、(ウィリアムズは)恐らくこれでとどめを刺されることになるんじゃないかな」
「そして彼らは多くのテレビ放映権(による分配金)を失うことになる。彼らは選手権で最下位になってしまうだろうからね。そうすればペイドライバーだってあそこで金を使いたいとは思わなくなるはずさ」
■フォース・インディアの将来は有望
一方、ローレンス・ストロールにとってウィリアムズ買収はいい買い物だったとビルヌーブは考えている。
「(フォース・インディアの)組織はウィリアムズよりも優れている。彼らが今年の開発をあきらめたのはそうする余裕がないからだけなんだ」
「ローレンスはこれまで常にブランドを成長させてきた。それが彼の強みのひとつなんだ。彼がウィリアムズでそれを実現できなかったのは彼がオーナーではなかったためだ。だけど、フォース・インディアでは彼はより大きな影響力を持つことになる」
そう語ったビルヌーブは次のように付け加えている。
「彼はフォース・インディアを助けていくだろうし、ウィリアムズとは違い、フォース・インディアはレーシングチームであり続けるよ」
■ウィリアムズが生き残る術は?
ビルヌーブが指摘するまでもなく、タイトルスポンサーを務めているマルティニが今年限りでF1での広告宣伝活動から撤退することを表明しており、これに加えてローレンス・ストロールの後ろ盾を失うことになればウィリアムズとしては事実上存続が困難な状況に追い込まれてしまうだろう。
そのウィリアムズがF1で生き残っていくために残された選択肢は、最近うわさされているようにメルセデスとの関係強化を進め、そのBチームとなるのを受け入れることしかないのかもしれない。