ウィリアムズがメルセデスの「Bチーム」となる動きが少しずつ見え始めてきたようだ。
■メルセデスのBチーム化がうわさされるウィリアムズ
イギリスの名門プライベートF1チームであるウィリアムズだが、1997年にジャック・ビルヌーブを擁して最後のF1タイトルを獲得して以来衰退の一途をたどっている。
PU(パワーユニット)と呼ばれる現行F1エンジンが導入された2014年と2015年はメルセデスPUの力を借りてコンストラクターズランキング3位にまで復活したものの、2016年と2017年はトップ3チームばかりか同じプライベートチームのフォース・インディアにも先行を許してランキング5位に落ちていた。
今シーズンはさらにチーム力低下が進み、現時点ではわずか4ポイントしか獲得できずにランキング最下位に沈んでしまっている。ウィリアムズ最後のF1チャンピオンとなったビルヌーブも、ウィリアムズは事実上「死んだ」状態だとコメントしたほどだ。
財政的にも危機的な状況を迎えているウィリアムズだが、うわさでは生き残りをかけてメルセデスのBチームとなることも検討されていると言われている。
■2019年にメルセデスからギアボックスとリアサス購入決定
メルセデスF1チームを率いるトト・ヴォルフはこの問題に関し、「フェラーリとザウバーのモデルは、今後に向けて競争力を維持していくためにはこうしたアライアンスが非常に重要であることを示している」とフランスの『Le Figaro(フィガロ)』に語るなど、前向きな姿勢を示している。
そして、その動きは水面下で着実に進み始めているようだ。
このほど、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が次のように報じている。
「来年、グローブに拠点を構えるチーム(ウィリアムズ)はメルセデス製ギアボックスとリアエンドを使用することになる」
■自力での改善を目指すウィリアムズ
だが、ウィリアムズとしてはハースのように自動車メーカー系チームの懐を借りるのではなく、あくまでも自分たち独自でシャシーを製造する純粋なF1コンストラクターでありたいという考えは捨てていないようだ。
実際のところ、これまでリアディフューザーの空力に大きな欠点があるとされていたが、先週末にF1ドイツGPが開催されたホッケンハイムではその問題がある程度解決されていたとともに新しいフロントウイングも期待されたような効果を生み出していた。
「期待に応える働きを示してくれたよ」
そう認めたウィリアムズのパディ・ロウ(チーフテクニカルオフィサー)は次のように続けた。
「残念ながら、もっと手を入れる必要はあるがね。掘り下げていけばいくほど、さらに弱点が見えてくるんだ」
「ハンガリー(第12戦ハンガリーGP/29日決勝)やスパ(第13戦ベルギーGP/8月26日決勝)にはまた新しいパーツを持ち込むことにしている」
「ホッケンハイムで使ったフロントウイングは非常に注目に値するものだったが、今後のレースで投入する改良パーツはそれほどではないだろう」
「だが、ホッケンハイムでは大きな進歩の兆候が見えたと言っておきたいね」
■避けられないメルセデスとの関係強化
しかし、来季はメルセデスからPUだけでなくギアボックスとリアサスペンションも購入することに決めたということは、ウィリアムズがメルセデスによる手助けが必要だと認めたことにほかならない。
タイトルスポンサーのマルティニが今季限りでF1での広告宣伝活動から撤退することが決定しており、うわさではチームに多額の資金を持ち込んでいたランス・ストロールもチームから離脱する可能性があると言われているだけに、ウィリアムズがチームを存続させるためにメルセデスとの関係強化に応じる可能性も小さくはないだろう。