前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、先週末に行われたF1オーストリアGP決勝でチームオーダーを発令しなかったフェラーリの姿勢を評価した。
第8戦フランスGPが終わった時点ではルイス・ハミルトン(メルセデス)がセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に14ポイント差をつけてドライバーズランキングのトップに位置していた。
ところが第9戦オーストラリアGP決勝ではメルセデスの2台がそろってマシントラブルによりリタイアするというめったに見られないアクシデントが発生。ハミルトンは今季初めてノーポイントでレースを終えてしまった。
■ベッテル優先のチームオーダーを出さなかったフェラーリ
そして、このレースで3位入賞を果たしたベッテルが15ポイントを加算し、わずか1ポイント差ながら再びランキングトップに返り咲いている。
だが、もしフェラーリがこのレースを2位でフィニッシュしたキミ・ライコネンにチームオーダーを発令してベッテルを前に出すという作戦をとっていれば、ベッテルはさらに3ポイントを加算することができ、ハミルトンのギャップは4ポイントになっていたはずだ。だが、フェラーリは今回チームオーダーを出すことはなかった。
■フェラーリはライコネンの士気もキープ
久々にF1レース会場を訪れていたエクレストンは、ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語っている。
「誰もがフェラーリのスポーツマンシップを手本にすることができるよ」
だが、フェラーリと言えば以前からナンバー1ドライバーとナンバー2ドライバーの区別がはっきりしていることが多く、実際2002年には当時チーム代表を務めていたジャン・トッド(現FIA会長)がルーベンス・バリチェロに対し「タイトルをとらせるためにミハエル(シューマッハ)を前に出させろ」と無線で指示を出したことが当時大きな話題となったこともあった。
エクレストンは次のように続けた。
「レース終了の少し前にベッテルを前に出させることは簡単なことだったはずだ。だが、フェラーリはそうしなかった」
「彼らはフェアプレーの精神ばかりでなく、キミのやる気もキープしたんだ」
■フェラーリ復活を喜ぶエクレストン
そう語ったエクレストンだが、F1きっての名門チームであるフェラーリが今年のチャンピオン候補となっているのを非常にうれしく思っているようだ。
「フェラーリがついに私が長年待ち望んでいた前進を遂げたよ」
87歳のエクレストンはそう語ると次のように付け加えた。
「セバスチャンは本当にタイトルにふさわしい。フェラーリが3ポイントをとらせなかったことで彼が不利にならないよう願うよ」