エリック・ブーリエの離脱はマクラーレンが抱えている“プレッシャー”によるものであり、今回の組織改編にはフェルナンド・アロンソも関与していた。
そう語ったのはマクラーレン・レーシングのCEOを務めるザック・ブラウンだ。
“危機的状況”だとメディアが報じるなど、今季のマクラーレンのパフォーマンス不足は誰の目にも明らかだ。こうした状況を受け、マクラーレンではすでに4月にシャシー担当チーフテクニカルオフィサーを務めていたティム・ゴスを更迭するなど、チーム体制にメスを入れ始めたことが明らかとなっていた。
そしてついに今週、2014年シーズン開幕前にロータスから移籍加入しレーシングディレクターを務めていたブーリエが4日付でチームを去ったことが明らかとなった。
■ブーリエ離脱の原因は“プレッシャー”
「マクラーレンの全員にとって非常に困難な時を迎えていたし、多くの重圧が我々の両肩にのしかかっていたんだ」
ブーリエの母国フランスの『L’Equipe(レキップ)』にそう語ったブラウンは次のように付け加えた。
「最終的に、彼はマクラーレンには前進することが必要だと感じたんだ。だから(辞任は)驚きではなかったよ。あまりにも長いことパフォーマンス不足が続き、プレッシャーを感じていたからね」
実際のところ、ブーリエは自発的に辞任したのか、あるいは辞任するよう求められたのか、そう質問されたブラウンは次のように答えている。
「エリックと交わした会話の詳細にまで踏み込んで話すつもりはないよ。それは不適切なことだと思うからね」
■マクラーレンの問題は1日では解決できない
マクラーレンではブーリエ離脱に伴いジル・ド・フェランが新たにスポーティングディレクター職に就くことを発表している。ブラジル出身のド・フェランはインディ500を制したことでも知られる元CARTチャンピオンであり、かつてF1でもBARホンダのスポーティングディレクターを務めていたこともある人物だ。
さらに、2015年にアロンソとともにフェラーリから移籍してきたアンドレア・ステラが4日付でパフォーマンスディレクターに昇格したことも発表されている。
「現在我々が置かれている状況は1日にしてこうなったわけではないし、1日でこれを解決できるものでもない」
そう語ったブラウンは次のように付け加えた。
「今日は勝利へと続く道へ戻るための第一歩だよ」
■今回の改編を一番歓迎しているのはアロンソ?
ともあれ、今回のマクラーレンの組織改編を一番喜んでいるのがアロンソだろうと考えられている。
アロンソは日ごろからブラウンとの関係が非常に良好であることを示唆しているが、今回の組織改編により長く自分の担当エンジニアを務めていたステラが重要なポジションに就くとともに、目標としているインディ500制覇に向けて頼もしいアドバイザーであるド・フェランがこれまでのコンサルタントから実権を持つディレクター職に就いたのはアロンソの影響が少なからずあったことを示唆するものだろう。
事実、ブラウンもアロンソが今回のリストラに“関与していた”と認めている。
■マクラーレンのシャシーはベストではなかった
マクラーレンは昨年までホンダと組んでいた時には不調の原因は唯一そのパワーユニットにあり、自分たちが製造するシャシーは最高レベルだと豪語。対外的に公然とホンダを批判していた
だが、ブラウンは今回、それは間違いだったと認める発言も行っている。
「我々のシャシーは最高ではない。少なくとも今年はそうではない」
「我々はコミュニケーションにおいて失敗を犯していたことを認めなくてはならない。予測や宣言を行うことには危険が伴うものだ」
そう語ったブラウンは次のように付け加えている。
「現時点での視点から見れば、かなり違うやり方をすることもできていただろうね」