このほどイギリスの『Daily Mail(デイリー・メール)』が報じたところによれば、マクラーレンのチーム内部に内紛ともとれる動きが出てきているようだ。
昨年限りでホンダとの関係を解消し、今季からルノーPU(パワーユニット)にスイッチしたマクラーレンだが、今季もパフォーマンス不足に苦しみ、トップチームたちに戦いを挑むことができない状態が続いている。
■ウィットマーシュに救いを求めたマクラーレンのスタッフたち
そんな中、マクラーレンのスタッフの一部がほかのスタッフたちを代表して元チーム代表のマーティン・ウィットマーシュに接触し、現状打破に協力して欲しいとの意向を伝えたのだという。
ウィットマーシュは25年にわたってマクラーレンで過ごし、2009年から当時最高権威の座にあったロン・デニスからチーム代表の座を譲り受けると2012年にはマクラーレン・グループCEOに昇格。だが、チームの成績不振の責任を負わされた形で2014年にマクラーレンを離脱していた。
現在60歳のウィットマーシュは今回の報道は事実だと認め、次のように語った。
「マクラーレンの人たちが私に現在の状況に関する手紙を送りたいと言ってきたんだ。私は彼らに対し、それは私にではなくマンスール(オジェ)に送って欲しいと伝えたよ」
ウィットマーシュが言及したマンスール・オジェはマクラーレン・グループの大株主のひとりだ。
■今のマクラーレンの方向性はおかしい
伝えられるところによれば、マクラーレンのスタッフたちは現在チーム代表を務めるエリック・ブーリエの手腕に疑問を抱いているほか、今年マクラーレン・レーシングのCEOに就任したザック・ブラウンがF1だけでなくル・マンやインディカーへの進出を計画していることを快く思っていないようだ。
ウィットマーシュはさらに次のように続けた。
「私はこのチームを愛しているし、今のようなチームになってしまったことをものすごく悲しんでいる」
「(マクラーレンは)取り組み方を大きく変える必要がある。主要メンバー間に政治的もくろみが多過ぎるよ。私は彼らのうち多くが去るべきだと思っている」
「私は自分の考えをマンスールに説明したし、この先どうするかは株主たちが決めることだ」
■マクラーレンにとって重要なのはF1だけであるべき
ウィットマーシュは、F1以外にも活動を広げようとしているブラウンの姿勢に反対しているスタッフたちを支持すると示唆し、次のように続けた。
「このチームはずっとF1で勝つことだけを目指してきた。マクラーレンはF1レースだけを追い求めるのではなく違う方向に進みつつある。これには身震いさせられるよ」
■ティム・ゴスの更迭はやり過ぎだった
ウィットマーシュは、自分がマクラーレンのスタッフたちの内乱とも言える行動を支持したいと思ったきっかけはシャシー担当チーフテクニカルオフィサーを務めていたティム・ゴスの更迭だったとしている。
「彼(ゴス)はスケープゴートにされてしまったんだ」
そう語ったウィットマーシュは次のように付け加えた。
「もし(マクラーレンスタッフの)代表団が私のドアに姿を見せれば、私は彼らを追い返したりはしないよ。彼らは私の立ち位置が分かっているんだ」