フォース・インディアのセルジオ・ペレスは、今季のF1がこれまで以上にオーバーテイクが難しいものになってしまったのは、新たに導入された“ハロ”と呼ばれるコックピット保護装置やF1公式タイヤサプライヤーのピレリが投入した2018年仕様タイヤによるところが大きいと考えている。
■オーバーテイクが減った今年のカナダGP
先週末に行われたF1カナダGPの舞台となったモントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットは、これまでは比較的オーバーテイクがよく見られることで知られていた。ところが、今年のレースでは実際のところコース上での追い抜きはそれほど見られず、またしても退屈なレースに終わってしまったと言われている。
現在F1モータースポーツ担当エグゼクティブディレクターを務めるロス・ブラウンはカナダGP後に次のように語った。
「モナコやカナダではレースそのものよりも予選の方がもっとエキサイティングだったという意見に同意しないわけにはいかないね」
「モナコでは無理もないが、モントリオールでは最後の最後まで勝者が分からないことが普通だった」
■F1には退屈なレースだってあるとベッテル
だが、カナダGPで今季3勝目をあげたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は次のように語った。
「最近はみんながすごく近視眼的なのが気に入らないよ。僕たちは今年7レースを終えたけれど、僕はそのうちいくつかは素晴らしかったし、いくつかは退屈だったと思う」
「でも、来週には(サッカーの)ワールドカップが始まるけれど、僕はエキサイティングではないゲームもたくさんあると断言するよ。それでもみんなは見るだろうけどね」
■チーム間格差を小さくすることが必要だとブラウン
そのベッテルのコメントを伝えられたブラウンは次のように語った。
「私もベッテルと同意見だよ。すべてのレースがエキサイティングなものになるわけじゃない。我々がそれを求めているとしてもね。いずれにしても、みんなはこの選手権(F1)を見るだろう」
「ベッテル同様、私もサッカーファンだよ」
そう語ったブラウンは、F1オーナーであるリバティ・メディアはそうしたことを解決するためにF1チームの予算に上限を設けることに取り組んでいるのだと付け加えている。
予算に一定の上限値が設定されれば、どのチームもより均等な条件で開発を進めることになり、各チームのF1マシンの力がよりきっ抗してくると考えられるからだ。
■変わったのはハロとタイヤだとペレス
だが、今年8年目のF1シーズンを迎えているメキシコ出身のペレスは、今年のカナダGPが退屈なレースとなった理由はほかにもあると考えている。
ペレスはカナダGP終了後にドイツの『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「なぜあれほどオーバーテイクが不可能な状態だったのか、僕にはよく理解できないよ」
「今年のクルマはハロのせいでこれまでよりも重くなっているし、そのせいもあるだろうね」
「だけど、オーバーテイクに必要なペース差はものすごく大きいんだ」
そう語ったペレスは次のように付け加えている。
「ピレリが何か劇的なことをしない限り、多分常に退屈なレースになるだろうと僕は思うよ」