現時点ではコンストラクターズランキング最下位に沈むという厳しいシーズンを迎えているウィリアムズだが、少なくとも19歳のカナダ人ドライバーであるランス・ストロールの存在には満足しているようだ。
■今のウィリアムズF1マシンでは戦えない
ウィリアムズで2年目のF1シーズンを迎えているストロールだが、今週末に開催されるホームレースのF1カナダGP(10日決勝)を前に母国のファンに対してここでもウィリアムズがいい成績を残すのは難しいだろうと次のように語った。
「このクルマにはまったく競争力がないんだ」
「僕たちはパッケージを改善し、またポイント争いができるようにするためにすべてのパーツと取っ組み合っているよ。だけどそれには時間がかかる」
「僕もクルマを改善するために自分にできることはすべてやっているし、シーズンの最後まで頑張り続けるつもりでいるよ」
■ストロールを擁護するクレア・ウィリアムズ
ストロールに関しては大富豪の父親が持ち込んだ金でシートを得られた“ペイドライバー”だというレッテルが貼られることが多いが、今年はそれとは別の批判的な意見が浴びせられることも増えている。それはなかなか結果が出せないことについてチーム批判とも受け取れるような発言をすることが多くなってきているからだ。
だが、チーム副代表を務めるクレア・ウィリアムズはストロールを擁護している。
「彼は自分が改善すべき点について非常に懸命に取り組んできました」
「彼は的外れな批判を受けることも多く、大きなプレッシャーを抱えているんです。私は、彼はそうしたすべてのことにうまく対応できるだけの素晴らしい成長を見せていると思っています」
「私は彼が私たちのために行ってくれた仕事を非常に誇りに思っていますし、彼が自分の才能すべてを示すことができるようなクルマをもうすぐ提供できるようになることを期待しています。私は本心から彼はF1で素晴らしいキャリアを築いていけると思っているんです」
■ストロールは期待に応えている
だが、慢性的な財政難に苦しめられ、タイトルスポンサーのマルティニも今季限りで失うことが確定しているウィリアムズにとってストロールの父親が持ち込む資金や、今季ウィリアムズからF1デビューを飾ったセルゲイ・シロトキンがロシアから持ち込むスポンサーマネーをあてにしなくてはならない時期が続くのは間違いなさそうだ。
2019年もストロールが続投することになるのかと尋ねられたクレアは次のように答えている。
「まだ契約の件については話をしていません。しかし、私たちはランスはここまでのところ期待にそう活躍を見せてくれていると考えていますし、ちゃんとした理由もなしにドライバーと決別するのは好ましいことではありません」
■カナダでの前進を期待するストロール
ともあれ、コンストラクターズランキングに関しては2014年と2015年は3位、2016年と2017年は5位につけていたウィリアムズだけに、今季一気に最下位にまで落ち込んでしまっている状況をなんとか打破していかなくてはならないのは確かだ。
そして今週末のカナダGPではメルセデスが新スペックのPU(パワーユニット)投入を予定しており、これがその後押しをしてくれる可能性もある。
だが、ストロールは実際にサーキットへ出てみるまではどうなるか予想するのは難しいと考えている。
「理論上はエンジンから利益を得ることはできるはずだ。だけど実際にサーキットで走ってみるまでは意見を言うことを差し控えたいな」
そう語ったストロールは次のように付け加えた。
「今季ここまでには進歩を示せたこともあったけれど、後退してしまったこともあった。だから僕としては次の段階が前向きなものであることを願うだけだよ」