2018年F1第6戦モナコGPが5月27日(日)、モンテカルロ市街地サーキット(全長3.337km)で3日目を迎え、現地時間15時10分(日本時間22時10分)から行われた決勝でレッドブルのダニエル・リカルドが優勝した。今季2勝目、通算7勝目。
●【画像:レース結果】2018年F1第6戦モナコGP決勝のタイム差、周回数
■大きな混乱なくレースがスタート
レッドライトが消灯しレースのスタートを告げると各ドライバーが一斉にターン1を目指して加速する。スタートでは大きなトラブルもなく全車が無事にターン1を通過。最後尾からスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンは1周目に2つ順位を上げた。
ポールポジションからスタートしたリカルドは決勝でも安定した速さを見せ、2番手スタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)や3番手スタートのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とのギャップをコントロールしながらレースをリードしていく。
10番グリッドからスタートしたトロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーもその順位をキープしながら周回を重ねていく。後方ではフェルスタッペンが追い抜きが難しいモンテカルロでひとつずつ順位を上げていき、レースが9周目を迎えたころには14番手にまで浮上する。
■上位勢ではハミルトンが一番先にタイヤ交換
レースが13周目に入ったところで3番手を走行していたハミルトンが早々とピットに向かい、モナコに持ち込まれたドライタイヤの中では中間に位置するウルトラソフトタイヤに交換。だがこのタイヤは新品ではなく、すでに予選で5周使用したものだ。
ロマン・グロージャン(ハース)のグリッド降格によりひとつ繰り上がって15番グリッドからスタートしていたトロロッソのブレンドン・ハートレーは16周目にピットイン。ハイパーソフトタイヤからウルトラソフトタイヤに履き替えて17番手でコース復帰した。
17周目にはベッテルもピットイン。こちらは新品のウルトラソフトタイヤに交換してコースに戻る。その次の周で先頭を走るリカルドもピットに入り、同じく新品ウルトラソフトタイヤに交換した。
■ガスリーらはタイヤ交換を遅らせてチャンスを探る
キミ・ライコネン(フェラーリ)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)もリカルドと同じタイミングでピットに戻る。ここでライコネンはウルトラソフトに交換したものの、ボッタスは違う戦略をとり一番硬いコンパウンドのスーパーソフトに履き替えた。
ライバル勢がピットインを行ったことで、まだタイヤを交換していないフォース・インディアのエステバン・オコン、トロロッソ・ホンダのガスリー、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグが6番手から8番手に順位を上げて走行を続ける。やはりタイヤ交換を行っていないフェルスタッペンはこのタイミングでポイント圏内の10番手にまで上昇してきた。
■リカルドにトラブル発生
その後、レースが25周を過ぎたあたりから先頭を走るリカルドのペースが落ち始める。リカルドはチームに無線で「パワーが失われた」と伝えており、何らかのトラブルを抱えてしまったようだ。ベッテルはこの間に一気にリカルドとのギャップを縮めていく。まだレースの周回数は半分以上残されており、リカルドが絶体絶命の状況に置かれたかと思われた。
一方、ライバルたちがタイヤ交換のためにピットに向かっていく中、ガスリーはギリギリまでタイヤ交換を遅らせる作戦をとったがついに38周目にピットイン。ここでガスリーはスーパーソフトに交換して10番手でコース復帰する。
先頭を走るリカルドは相変わらずペースが上がらないものの、コース上での追い抜きが非常に難しいモンテカルロ市街地サーキットの特性をうまく利用してベッテルにオーバーテイクのチャンスを与えない。この間に3番手のハミルトンが一時は先頭の2台との差を縮めてくるものの、ハミルトンのタイヤの方が10周分ほど古いこともあり、終盤はまたギャップが開き始めてしまう。
ウルトラソフトタイヤでスタートしていたフェルスタッペンが47周目についにピットに入り、ハイパーソフトタイヤに交換。フェルスタッペンは11番手でコースに復帰した。
フェルスタッペンとヒュルケンベルグのピットインにより8番手に順位を上げたガスリーは7番手を走行するマクラーレンのアロンソにプレッシャーをかけていく。
■アロンソが今季初リタイア
ところがアロンソのギアボックスにトラブルが発生。アロンソはレースが54周目に入ったところでクルマをエスケープゾーンに入れてストップ。2年ぶりにモナコGPに出走したアロンソだが、ここで無念のリタイアとなる。ガスリーはこれで労せず7番手に順位を上げた。
58周目にはフェルスタッペンがルノーのカルロス・サインツをオーバーテイクして9番手に浮上。レースが終盤に差し掛かるころには8番手を走行するヒュルケンベルグの背後に迫り、7番手のガスリー、ヒュルケンベルグ、フェルスタッペンがひとつの集団を形成しながら順位争いを展開していく。
■ハートレーにルクレールが激突
トロロッソ・ホンダのハートレーは11番手にまで順位を上げていたものの、レースが70周を過ぎたころにピットレーンでのスピード違反のために5秒ペナルティーを科されてしまう。ところが、その直後にモナコ出身ドライバーのシャルル・ルクレール(ザウバー)がトンネルを抜けたところにあるターン10でハートレーのマシンに激しく追突するというアクシデントが発生。ここでVSC(バーチャルセーフティカー)が導入された。
ルクレールはそのままその場でクルマをストップ。ハートレーはマシン後部に大きなダメージを負いながらもなんとかピットまでたどり着くが、やはりここでリタイアとなってしまった。
■トラブルを抱えながらもリカルドがモナコ初優勝
レースが残り4周となったところでVSCが解除されてコース上での戦いが再開。しかし、VSCの間にピットインしていたマクラーレンのストフェル・バンドーンがリカルドとの間に入ったことや、VSCの間にタイヤが冷えてしまったためかベッテルのペースが上がらず、7速ギアを失った手負いのクルマを操るリカルドがトップの位置をキープし続ける。
結局このままリカルドが先頭でチェッカーフラッグを受け、F1キャリア初のポール・トゥ・ウィンで今季2勝目、通算7勝目を達成した。2位はベッテル、3位はハミルトンだった。この結果、ランキングトップのハミルトンとベッテルのポイント差は14に縮まっている。
トロロッソ・ホンダのガスリーは7位でチェッカーを受け、第2戦バーレーンGPに次ぐ今季2回目のポイント獲得を達成した。
■決勝トップ10ドライバー(暫定)
優勝/ダニエル・リカルド(レッドブル)
2位/セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
3位/ルイス・ハミルトン(メルセデス)
4位/キミ・ライコネン(フェラーリ)
5位/バルテリ・ボッタス(メルセデス)
6位/エステバン・オコン(フォース・インディア)
7位/ピエール・ガスリー(トロロッソ)
8位/ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
9位/マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
10位/カルロス・サインツ(ルノー)
次戦2018年F1第7戦カナダGPは6月8日(金)の現地時間10時(日本時間23時)に開幕。決勝は同10日(日)の現地時間14時10分(日本時間11日3時10分)にスタートする。