「かつてのようなエンジン音がなくてもF1は生き残っていける」
そう語ったのは、かつてF1公式タイヤサプライヤーを務めていたミシュランの元モータースポーツ責任者ピエール・デュパスキエだ。
2014年にPU(パワーユニット)と呼ばれる1.6リッターV型6気筒ターボエンジンとERS(エネルギー回生システム)が組み合わされた現行F1エンジンが導入された。しかし、それまでの自然吸気エンジンに比べると音がかなり小さくなってしまい、F1としての迫力に欠けるものになったとの批判の声が生まれていた。
そして、現在のエンジン契約が2020年で満期を迎えるのを機に、F1オーナーのリバティ・メディアは2021年以降F1エンジン音をもっと大きくすることを検討している。
だが、デュパスキエは新しい世代のF1ファンは新時代のF1を受け入れていくはずだと考えている。
「若者たちは別のカテゴリーなんだ」
母国フランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』にそう語ったデュパスキエは次のように続けた。
「彼らはゲーム機で異なるものに慣れているし、ハイブリッドや電気自動車だって日常的に目にしているんだ」
「彼らはそのうちどうしてF1カーはあんなに大きな音を出すのかといぶかしがることになるだろう」
デュパスキエは、また過去に戻ろうとすれば、F1が誤った方向に進むことになるだろうと次のように付け加えている。
「市販車があらゆる近代的な技巧を有しているとき、もはや誰も古いマシンのことなど理解しないだろう」
ミシュランは1977年から1984年、そして2001年から2006年までF1公式タイヤサプライヤーを務めていた。そしてデュパスキエは2005年シーズンを最後にミシュランのモータースポーツ責任者を辞し、引退生活に入っている。