先週末に行われたF1アゼルバイジャンGP決勝ではバルテリ・ボッタス(メルセデス)が優勝を目前としながらコース上の破片を踏んだことでリタイアとなってしまうという波乱の結末となった。
だが、3番グリッドからスタートし、ほぼ勝利を手中に収めるパフォーマンスを発揮したボッタスの評価が急上昇しているようだ。
■ボッタスに最高点を付けたイタリアのメディア
フェラーリの地元イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、アゼルバイジャンGPでのボッタスに10点満点中の8点を付けており、これは6位初入賞を飾ったザウバーのルーキー、シャルル・ルクレールと並んで全ドライバーの中で最高得点となっている。
とは言え、いくらメディアから高評価を受けたとしても、ボッタスに残るのはリタイアという公式記録だけであり、優勝していれば25ポイントを獲得できていたレースをノーポイントで終えた痛みが緩和されるわけではない。
「彼は私に、これは本当に痛いと語ったよ」とメルセデスを率いるトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)はレース後に語っていた。
■バクーでのパフォーマンスで交渉も有利に?
だが、これから各チームが2019年のドライバーラインアップ決定のための検討や交渉を開始していく時期を迎えるにあたり、今回のボッタスのパフォーマンスはそれに向けてはかなりの後押しとなりそうだ。
ボッタスとメルセデスとの間に結ばれているのは1年契約であり、来季はメルセデスがダニエル・リカルド(レッドブル)をルイス・ハミルトンのチームメートに据えるのではないかとうわさされているだけに、ここでボッタスがその存在感を強くアピールすることができたのは今後の交渉に向けて非常に有利な材料となるのは確かだろう。
■ミスを犯さなかったのはボッタスだけ
『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』はバクー市街地コースで行われたアゼルバイジャンGP決勝ではボッタスがベストドライバーだったとし、次のように続けている。
「トップドライバーたちの中では彼だけがレースを通じて何のミスも犯さなかった」
「彼はハミルトンの支援役以上の存在であることを証明しつつある」
実際のところ、ボッタスを襲った不運により棚からぼたもち的に自分に優勝が転がりこんだ形のハミルトンは、クルマから降りるとまずボッタスをなぐさめるために彼のところに駆け寄っていた。そのために表彰式の開始が若干遅れることとなってしまったが、ハミルトンは優勝トロフィーを高く掲げる前に、これは本当はボッタスのものだとコメントしていた。
■ハミルトンはいい位置にいた
そのハミルトンに関して、元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは母国オランダのテレビ局『Ziggo Sport Totaal(ジッホ・スポルト・トタール)』に次のように語っている。
「ルイスの方は控えめなレースだったね」
「彼はいいときにいいところにいただけだと言うことができる。だが、彼はあの後とても正直だったよ」
かつてミナルディとレッドブルでドライバーを務めた経験を持つ36歳のドーンボスは次のように付け加えた。
「彼がこのレースを自分のハイライトDVDに収めることはないだろうと思うよ」