フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の去就が2019年シーズンに向けたドライバーの移籍市場をさらににぎわせることになるかもしれないと報じられている。
■注目が集まるリカルドの去就
現時点では、2019年シーズンに向けてその去就に最も注目が集まっているのはレッドブルのダニエル・リカルドだ。リカルドにはレッドブル残留、そしてフェラーリあるいはメルセデスへの移籍という3つの可能性があると言われている。
今季のF1第4戦アゼルバイジャンGPが開催されているバクーで移籍問題に関して質問されたリカルドは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)と一緒にレースをするのも楽しいだろうと発言し、メルセデス移籍の可能性を示唆したと伝えられている。
メルセデスとバルテリ・ボッタスとの契約は1年間となっており、リカルドがその後任として2019年にメルセデスのシートに座る可能性も少なからずありそうだ。
■リカルドのフェラーリ移籍の可能性は?
一方、リカルドに関してはすでにフェラーリと一定の事前合意に達しているようだとのうわささえささやかれていたが、リカルド本人がそうした事実はないと否定したとも報じられている。
だが、もしリカルドがフェラーリへ移籍するということになれば、当然ながら現在38歳のキミ・ライコネンの後任ということになる。そうすれば2014年にレッドブルでチームメートだったセバスチャン・ベッテルとまたチームを組むことになる。
PU(パワーユニット)と呼ばれる現行F1エンジンが導入された2014年シーズンにはベッテルがなかなか新たなレギュレーションに沿って製造されたF1マシンになじめない一方で、その年にトロロッソから昇格してきたリカルドの方がベッテルを上回るパフォーマンスを見せたことはよく知られている。
■ベッテルもリカルドとのコンビ復活を歓迎?
フェラーリに移籍し、再びベッテルのチームメートとなる可能性について尋ねられたリカルドは、ドイツの『Welt(ヴェルト)』紙に次のように答えた。
「現時点では、セブ(ベッテルの愛称)は間違いなく今のチームメート(ライコネン)に満足しているよ」
「それは誰の目にも明らかだ」
「だけど、僕はセブが恐れているとも思っていないよ。僕はセバスチャンのことを知っていると思っているし、競技者としての彼は2014年に敗れたことに対する雪辱を期すチャンスが与えられることを喜ぶだろうと思うんだ」
■ハミルトンに新たなF1引退説?
一方で、アゼルバイジャンでは新たにメルセデスに関する別のうわさも表に出てきている。
それは、バクーを訪れている前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、ハミルトンはF1に飽き始めているのかもしれないと語ったことによるものだ。
少し前にはメルセデスと複数年に及ぶ契約を更新したいと示唆していたハミルトンだが、昨シーズン後には早期のF1引退をにおわせるような発言もしていた。もしエクレストンが示唆したようにハミルトンが突然今季限りでF1を去るという決断をするようなことになれば、メルセデスの来季以降のドライバー体制が大きく変動することになり、それが今年のドライバー市場にも重大な影響を及ぼすことは間違いないだろう。
だが、そのエクレストンの発言について質問されたメルセデスのトト・ヴォルフ(エグゼクティブディレクター)はドイツの『Handelsblatt(ハンデルスブラット)』に次のように答えた。
「バーニーは常に手りゅう弾を放り投げるんだ」
「それが彼のスタイルなんだよ。だけど、ルイスの内にはまだ炎と欲望が燃え盛っているよ」
■マクラーレンにプレッシャーをかけるブリアトーレ
だが、エクレストンが放り投げた“手りゅう弾”は、実際のところかつてのビジネスパートナーであり友人でもあるフラビオ・ブリアトーレによって仕込まれたのではないかとの見方もあるようだ。
かつてベネトンとルノーでチーム代表を務めていたブリアトーレは現在も2005年と2006年にルノーでF1チャンピオンとなったアロンソのマネジメントにも携わっていることで知られている。
やはり今年のバクーに姿を見せているブリアトーレは、アロンソもマクラーレンの復活が待ちきれない状態になりつつあることを示唆したと報じられている。
ホンダからルノーPUにスイッチしたもののマクラーレンは今季まだ一度も予選Q3進出を果たせていない。アゼルバイジャンGP予選でも13番手に終わったアロンソの予選について質問を受けたブリアトーレはスペインのテレビ局『Movistar(モビスター)』に次のように答えた。
「非常によろしくないね」
「彼ら(マクラーレン)はフェルナンドのクルマにテレビをつけるべきだよ。そうすれば少なくとも彼はレース中にそれを楽しむことができるからね」
■アロンソがマクラーレンにとどまるかどうかは分からない
ブリアトーレは今後もマクラーレンが改善を見せることができなければ、アロンソが今季限りでチームを去る可能性もあると示唆するように次のように続けた。
「フェルナンドがこれからもマクラーレンにとどまるかって? 分からないよ」
「だが、ルノーのような非常によいエンジンを得たのだから、チームは改善しなくてはならない」
「昨年の問題はホンダだった。だが、今年に関しては私には分からない。問題はクルマがあまりにも遅すぎるということだ」
■2018年限りでアロンソF1引退の可能性も?
今年はF1とかけもちでWEC(世界耐久選手権)にもフル参戦することになっているアロンソだが、仮にマクラーレンでF1を続けることへの情熱が失われた場合、勝てるF1チームという観点からすれば選択肢はメルセデスへの移籍か古巣フェラーリへの復帰しかないだろう。
そして、それがかなわなければ、最近アロンソの母国スペインでうわさされているように今季限りでアロンソがF1から引退するという決断に至る可能性も小さくなさそうだ。
いずれにしても、今後リカルド、ボッタス、ライコネン、ハミルトン、アロンソらの去就にさらに大きな注目と関心が寄せられることになりそうだ。