セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)は、今年のF1アゼルバイジャンGP(29日決勝)には昨年犯したような失敗はしないとの決心を抱いて臨むことになる。
バクー市街地サーキットで行われた昨年のアゼルバイジャンGP決勝では、セーフティカー導入中に冷静さを失ったベッテルがわざとルイス・ハミルトン(メルセデス)のクルマに自分のクルマをぶつけるという事件が発生していた。
これはハミルトンが自分のうしろにぴったりとくっつくように走っていたベッテルをけん制するためにわざと急激に速度を落としたのだとベッテルが受け止めたことが原因だった。
■タイトル獲得失敗につながったバクーでの事件
「レース後、僕は最悪の気分だったよ」
母国ドイツの『Welt(ヴェルト)』紙にそう語ったベッテルは次のように付け加えた。
「僕はそれに対処しなくてはならなかった」
ベッテルは、2017年シーズン序盤にはハミルトンをリードしながら、最終的にF1ドライバーズタイトル獲得に失敗したのはその一件がターニングポイントとなってしまったのだと考えている。
「人生にはそういうこともあるさ」
独り言のようにそう語ったベッテルは次のように続けた。
「自分自身で台無しにしてしまったことって、一番こたえるものだからね」
■昨年のバクーで学んだベッテル
だがその一件を経て、ベッテルは冷静でいることの重要性を学んだようだ。そしてその一端は今年の第3戦中国GPでも見てとることができた。
中国GP決勝でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がベッテルに無理な追い抜きをしかけて両者が接触。ベッテルはこれにより8位に順位を落とすという結果となっていた。
以前のベッテルであればフェルスタッペンを声高に非難していたかもしれない。だが、ベッテルはレース後に直接自分のところに謝りにきたフェルスタッペンを称賛するという大人の対応をとってみせたのだ。
ベッテルは中国GP決勝での出来事について次のように語っている。
「僕はクルマの中で無口だったよ。少なくとも何ポイントか獲得するために、なんとかクルマをフィニッシュラインまでたどりつかせるよう頑張らなくてはならなかったからね」