昨年通算4回目のF1チャンピオンに輝いたメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは、今年のフェラーリには油断はできないと考えているようだ。
■ベッテルの開幕戦勝利は運がよかっただけ?
今年のF1開幕戦オーストラリアGPではフェラーリのセバスチャン・ベッテルが予選で圧倒的な速さを見せたハミルトンをピット戦略によって逆転して2年連続で開幕戦勝利をあげた。
だが、予選3番手のベッテルが逆転できたのはVSC(バーチャルセーフティカー)が導入されたことによる運を生かしたものであり、もしあれがなければハミルトンが勝利を飾っていたはずだと考えている者は多い。
■まだチームの序列を判断するのは早い
しかしハミルトン自身は今週末に開催される第2戦バーレーンGP(8日決勝)でも何が起きるか分からないと次のように語った。
「バーレーンでは何が待ち受けているのか想像もできないよ」
「いい点もあれば悪い点もある。フェラーリはストレートではすごく速いんだ。だからバーレーンでは彼らが強さを見せるだろうね。確実に言えることは、僕たちにとって楽なものとはならないということさ」
「4レースが終われば、どういう順列なのかというはっきりとした考えを持てるだろうと思う。今はまだ早すぎるよ」
■フェラーリは考えられている以上にいい
予選で2番手となったフェラーリのキミ・ライコネンにコンマ7秒近い圧倒的な差をつけて今季最初のポールシッターとなったハミルトンだったが、レースはまた別物だと次のように続けた。
「誰もが僕たちのエンジンの特別モードに関する話をしていたし、僕たちが有利だと考えられていた。だけど、キミは最初のスティントではすごく速かったよ。差を開くのは楽なことではなかったんだ」
「セバスチャンが予選でいいラップができていたのかどうか僕には分からない。だからフェラーリの本当の予選スピードは分からないんだ。僕の考えだけど、彼らのクルマは思われているよりもいいよ」
■すでに心理戦もスタート?
ともあれ、予選では3番手に沈んだベッテルが運も味方につけてピット戦略でハミルトンとライコネンの前でコースに復帰し、そのまま先頭でチェッカーフラッグを受けることに成功。ライコネンも3位表彰台に上り、フェラーリとしては幸先のよいスタートを切ることができたのは確かだ。
さらに、ぶっちぎりのポールポジションタイムを刻んだハミルトンが予選後にベッテルの顔から「ほほ笑みを消し去ってやった」とコメントしてことに対し、ベッテルは決勝後に「自分の行いは自分に返ってくるものさ」と言い返すなど、すでにドライバー同士の心理戦もスタートしているようだ。
■大事なのは日曜日の決勝レース
だが、チーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネはまだ今シーズンも先が長いし、今は冷静さを保つことが重要だと考えている。
「我々は平静を保つ必要がある。まだ最初のレースに過ぎないのだからね」
イタリアのテレビ局『Sky Italia(スカイ・イタリア)』にそう語ったアリバベーネは次のように付け加えた。
「私はドライバー同士の小競り合いの中に自分も入って行こうとは思わない。私はただこう言っておこう。レースは日曜日だ。ポイントが与えられるのは日曜日なんだ。そしてその日曜日に我々はポイントを取ることができた」