ルノーF1プロジェクトを率いるシリル・アビテブール(マネジングディレクター)が今季の目標や、レッドブルやマクラーレンとの関係、さらに今後のF1に関して語った。
2016年にフルワークス体制でのF1挑戦を再開したルノーだが、3年目を迎える今年はメルセデスAMG、フェラーリ、レッドブルの3強チームに次ぐコンストラクターズランキング4位に浮上することを目指している。
■信頼性優先でランキング上昇を目指す
「我々は保守的なアプローチでスタートしようとしているんだ」
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』にそう語った40歳のアビテブールは次のように続けた。
「注力するのは信頼性だ。我々は新しいギアボックスやサスペンションなどを投入したこれまでとは全く異なるクルマを使うことになる。だからそれが重要なんだ」
「昨年、我々は9位から6位へと順位を上げた。だから、それを続けていくことが必要だよ」
ルノーのPUは、昨年までは明らかにメルセデスやフェラーリのものには劣っていた。だが、今年はルノーやホンダもかなり差を縮めてきていると考えられている。
アビテブールも次のように語っている。
「我々は信頼性とパフォーマンスに関しては目標に向かいつつある」
「だが、まだスタート地点に立ったばかりだよ」
■レッドブルとは今季限りで決別?
今季ルノーPUを使用するチームは自分たちに加えレッドブルとマクラーレンの3チームだ。アビテブールはその3チームが使うPUに差を設けたりするようなことはないと次のように主張している。
「我々は、レッドブルとマクラーレンは単なる顧客ではなくパートナーだと考えている。我々は誰もが同じ扱いを受けることを保証するよ」
「だが、2021年以降に導入される新世代エンジンに関しては、それについて考える余地はあるかもしれない」
しかし、その時点ではレッドブルはすでにルノーPUを使っていない可能性が大きいと言われており、今季のトロロッソ・ホンダのパフォーマンス次第では2019年にレッドブル・ホンダが誕生する可能性が高いと見られている。
「そうなると言うにはまだ早すぎるよ。だが、私はひとつ強調しておきたいと思う。彼ら(レッドブル)との間で突っ込んだ話し合いがなされなかったシーズンなど一度もなかったよ。それでも、我々は12年間一緒にやってきたんだ」
「私は2019年も同じように続けることになると言っているわけじゃない。だが、その協力関係が続くのかどうかできる限り早く明確になることを期待しているよ」
■今のようなF1を続けてはいけない
一方、アビテブールはF1にはもっと変化していくことが必要だと主張している。
「こんなことを続けるわけにはいかないよ。シーズンが始まる前からF1チャンピオンの名前がすでに分かっているなんておかしいだろう」
「それは健全ではないし誰のためにもならない。だから我々はリバティ・メディアに加えフェラーリ、メルセデス、マクラーレンらと緊密に取り組んで変化を起こしていくことが必要なんだ」
「しかし、我々はF1のDNAを損なうことなく、それを行う必要がある。大衆の感じ方は変化してきているし、常に変化を続けている世界では、もはや過ぎし日のレシピは通用しないからね」
そう語ったアビテブールは次のように締めくくっている。
「これから注力すべきはテクノロジーではなく、スポーツのほうであるべきだよ」