F1のマーケティング責任者であるショーン・ブラッチーズが、F1が無料テレビ中継から、インターネットを利用した有料中継へと移行する計画を立てていることの正当性を主張した。
■消えつつあるF1無料放送
近年、かつてのようにF1の無料放送を行うテレビ局は非常に少なくなってきている。日本でもすでに地上波やBSでのF1無料放送は消え、現在は有料CS放送あるいは有料のネット中継でレースを楽しむしか手段がなくなっている。
そしてそれはヨーロッパやそのほかの地域でも同様の傾向にあり、最近では名門F1チームであるフェラーリのおひざ元イタリアでもテレビでのF1無料放送がなくなると報じられている。
■F1中継のデジタル化を促進する新オーナー
そんな中、2017年からF1の新オーナーとなったリバティ・メディアは、今後さらにデジタル手法を駆使したF1中継手段を検討しているようだ。
ブラッチーズは、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「我々のデジタルプラットフォームを見直して、再開することが計画されている」
「今日では、我々にとって金がかかるだけだ。ファンは独占的コンテンツをダウンロードすることはできない。それが変わることになる」
そう語ったブラッチーズは、次のような説明を行っている。
「ファンにダイレクトストリーミングを提供することを始めるつもりだ。ライブコンテンツと非ライブコンテンツの両方をね。そうすれば、ファンはクルマから送られてくるデータに直接アクセスできるようになるんだ」
「ある程度は無料で提供されるが、熱心なファンは金を払うことでそれ以上のものを得ることができる」
■F1中継のデジタル化を促進する新オーナー
2016年までF1最高権威の座にあったバーニー・エクレストンは、テレビ放映権を独占的価値のあるものとして維持することが重要だとして、インターネットを通じてF1を配信することについては否定的な立場をとっていた。
だが、ブラッチーズは、その考え方は間違っていると主張している。
「市場は、両方同時に実現できることを証明してきているんだ。ほかのスポーツの方がすでにかなり先を行っているよ」
「我々はテレビのパートナーをないがしろにしようとしているわけじゃない。今年は新たなテレビ用グラフィックス・プラットフォームを提供する予定だし、それは消費者にとってさらに親しみやすい形でコンテンツを伝えるものになるだろう」
■テレビ中継の理想は3割程度を無料放送
そう語ったブラッチーズは、近年各国で無料F1放送が消えている状況について尋ねられると、次のように答えた。
「無料放送は(視聴者に)届きやすい。だが、金は有料テレビの方が得られるんだ」
「理想的には、25から30%のレースが無料放送され、残りが有料であれば申し分ないね。フランスやほかの国でもそのやり方がうまく機能しているよ」
そう語ったブラッチーズは、最後に次のように付け加えた。
「だが、まだこのモデルを導入すべきではない国々もある」