2018年を迎えたトト・ヴォルフ(メルセデス/エグゼクティブディレクター)が、1年前に比べると今年の冬は少しリラックスできたと語った。
■多忙を極めた1年前のヴォルフ
1年前の冬、つまり2016年のF1シーズン終了後の話だが、その年のF1チャンピオンに輝いたニコ・ロズベルグが突然の引退発表を行った。ロズベルグはメルセデスと2018年までの契約を結んでいたため、当然ながらチームとしては2017年もルイス・ハミルトンとロズベルグのコンビで戦うことを想定していた。
このため、急きょロズベルグの後任ドライバーを探す必要が生じ、ウィリアムズからバルテリ・ボッタスを引き抜く形での調整が行われたのだった。
この突然のドライバー交代劇もあり、2017年型車の仕上げとともに、ヴォルフは新チーム体制づくりにもかなりのエネルギーを費やさなくてはならなかったわけだ。
「昨年に比べれば明らかにストレスは小さかったよ」
母国オーストリアの『Kurier(クリヤー)』紙にそう語ったヴォルフはほほ笑みを浮かべながら次のように付け加えた。
「だが、今後数日のうちに何が起きるかなんて誰にも分からないよ。ルイスが何を考えているのかなんて全く分からないからね」
■現在の不安材料はハミルトン?
もちろん、このヴォルフのコメントはジョークとして受け止めるべきだろう。だが、ハミルトンがものすごく気まぐれな人物であることも有名な話だ。
最近ではクリスマスにインスタグラムに投稿した動画が“炎上”したことで、その後ハミルトンがインスタグラムやツイッターからこれまでの投稿のほぼすべてを削除してしまうという事件も起きたばかりだ。最近、近い将来のF1引退をにおわせる発言をしているハミルトンがロズベルグ同様突然F1引退を決める可能性もゼロではないだろう。
しかし、ヴォルフは今後もハミルトンはメルセデスでF1を続けるはずだと次のように語った。
「彼のパフォーマンスは信じられないほどだったし、4回目のタイトル獲得を決めた後もモチベーションが欠けたりなどしていないよ。彼はミハエル・シューマッハが持つ7回のタイトル獲得記録を射程内にとらえたと思っているだろうと私は感じている。そして、我々はそれを達成するためのクルマを彼に提供できるよう全力を尽くすつもりだ」
■ラウダが会長職に専念できるのはいいニュース
一方、ヴォルフはメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、昨年限りでドイツのテレビ局で行っていたF1解説者の仕事を降りることになったことを歓迎しているようだ。
「あれは非常に個人的な決断だったし、メルセデスAMGの監査役会は一切それには関与していなかったよ」
「だが、これにより彼にもっと時間ができるのはいいことだ。もっとも、これまでだって彼は常に真っ先にパドックに顔を出していたけれどね」
そう語ったヴォルフは、ほほ笑みを浮かべながら次のように付け加えた。
「ニキがモーターホームに入るころは、いつもまだ清掃作業者たちが仕事をしていたよ」