前F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、今後はもうF1レースに顔を出すことはあまりないかもしれないと示唆した。
2017年にF1新オーナーとなったリバティ・メディアによって実権を持たない“名誉会長職”に据えられたエクレストンだが、それでもいくつかのレースではサーキットにその姿を現していた。だが、シーズン終盤になるとエクレストンは不思議なくらいF1グランプリに姿を見せなくなっていた。
■F1を嫌いになったわけじゃない
エクレストンは、このほどその理由をドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「私の後継者が、もはやサーキットで私の姿を見たくないと思っているという印象があるんだ」
エクレストンが言及した後継者とはリバティ・メディアから新F1最高責任者に指名されたチェイス・キャリーのことだ。だが、今後F1レースへ顔を出すことがなくなるにしても、それは決して現在のF1への情熱や愛着を失ったわけではないとエクレストンは次のように主張している。
「それは逆だよ。私はF1を誇りに思っているし、もっとよくなって欲しいと思っているよ」
■2017年の観客増加要因はフェラーリの躍進
最近発表されたデータによれば、2017年のF1はテレビ観戦者もサーキットの観客動員数も前年よりも増加したことが明らかとなっている。
「フェラーリ対メルセデスの戦いがファンを動員したのさ」
その理由をそう分析したエクレストンは次のように付け加えた。
「実際のところ、私はプロモーターにわびを入れたよ。彼らはかつてのF1に金を払ったが、それで得られたものは勝ち続けるメルセデスだった。今では、再び金がもうかるだけの価値が出てきているよ」
エクレストンに言わせれば、2017年の観客動員数が増え、テレビ視聴率が上がったのはリバティ・メディアの手腕ではなく、フェラーリがかなり強さを見せたことがその理由だったということのようだ。
■リバティのマーケティング戦略は疑問
リバティ・メディアは、インターネットを中心としたメディア戦略を強化するなど、マーケティングにかなりの投資を行っている。だが、エクレストンはそうしたやり方には賛成できないようだ。
「チームのマーケティング活動は自分たちでやることが重要だし、プロモーターは自分たちでレースを主催することが重要なんだ。もしFOM(F1商業権管理組織)がサードパーティーのように競合すれば、それは混乱を招くだけさ」とエクレストンは主張している。