2014年にPU(パワーユニット)と呼ばれる現行F1エンジンルールが導入されて以来圧倒的な強さでF1タイトル4連覇を達成したメルセデスだが、今後もライバルたちがその牙城を崩すのはかなり難しいかもしれない。
というのも、メルセデス製PUはそう遠くない将来1000馬力の壁を突き破るだろうとの見方が強くなっているためだ。
■メルセデスPUは2019年に1000馬力到達か
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』が伝えたところによれば、GPS(衛星測位システム)を使ってライバルチームたちが計測したところ、すでにメルセデスPUは2017年シーズン終盤に949馬力の出力を実現していたことが分かったという。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、メルセデスのエンジン開発責任者であるアンディ・コーウェルがそう遠くない将来に1000馬力の壁を突破できるという自信を示したとし、次のように書いている。
「もしF1チャンピオンチーム(メルセデス)がこれまでと同じような開発スピードを維持できれば、2019年中にも1000馬力に到達するだろう」
■フェラーリはPU開発競争で後手に?
一方、そのメルセデスの最大のライバルであるフェラーリのPUが2017年に示した出力は934馬力だったという。
フィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』は、フェラーリは2018年にPU出力をさらに40馬力アップさせようと取り組んでいるとしている。
だが、フェラーリにとっての不安材料は最高技術責任者のマッティア・ビノットの右腕として2017年6月までF1エンジン開発に携わってきていたロレンツォ・サッシがメルセデスに移籍することかもしれない。
F1関係者の中には、2017年シーズン序盤にメルセデスAMGと互角以上の戦いを見せていたフェラーリが中盤から終盤にかけて勢いを失ってしまった原因のひとつにサッシがF1プロジェクトからはずれたことがあるのではないかと考えている者もいる。
■組織変更の影響はないとフェラーリ会長
だが、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは、その推測は誤っているとスペインの『Marca(マルカ)』に次のように語っている。
「誰がサッシが逸材だと言ったのかは知らないが、私にはそう言った記憶はない」
「実際のところ、我々の問題は彼に起因するものだけではなかったんだ。我々としては彼をGTで使うつもりだったんだ。だが、残念ながら彼は(フェラーリを)去るという決断をし、どこかよそでキャリアを続けることにしたんだ」
「チームにとって、それは通常起こりうる変化だし、これからはコラード・イオッティがその役目を負うことになる。そして我々は彼に満足しているよ」
■大幅なパフォーマンスアップが課題となるホンダ
一方、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』の記事によれば、ルノーPUの2017年終盤の出力は907馬力、ホンダは860馬力だったという。
2018年シーズンからトロロッソと組むホンダだが、ルノーを上回ることを今年の目標として掲げている。だが、現時点で最強メルセデスとは90馬力、ルノーからも50馬力近く劣っているとされているパフォーマンスを大幅に改善するのはかなり難しい仕事になるのは間違いないだろう。
2018年シーズン前半のパフォーマンス次第では2019年にはレッドブル・ホンダの誕生もあり得ると言われているが、現状の大きなパフォーマンス差をできるだけ早く縮めるとともに、信頼性を高めていくことがホンダにとっての大きな課題となるのは確かだ。