2017年F1最終戦アブダビGP決勝後の表彰式においてF1の新ロゴマークが発表された。だが、この新マークに対するF1関係者たちの反応はいささか冷ややかなようだ。
●【新F1:動画と画像】新F1ロゴを発表!新時代へ(新旧ロゴの比較も)
F1新オーナーとなったリバティ・メディアはこれまでとはあらゆる面で異なるF1ブランド戦略を展開する方針であると伝えられており、2018年シーズン開幕前にはその全貌が明らかになるものと考えられている。
■新F1ロゴはESPNのロゴに似ている?
リバティ・メディアのマーケティング責任者ショーン・ブラッチスは、アブダビでロゴマークだけを先に発表した理由をイタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に次のように語った。
「我々のパートナーたちがどのようにこれを利用すればいいか考えられるように今発表したいと思ったんだ」
これまでのF1ロゴマークは1993年から使用されていたもので、“フライング1”との呼び名でも知られている。
リバティ・メディアが示した新しいロゴも“F”と“1”を組み合わせたデザインになっているのはこれまでと同じだが、どこかアメリカのテレビ局『ESPN』のロゴに似ているという印象を持った者もいたようだ。
ブラッチスは『ESPN』のマーケティング担当重役だった人物であり、今回のロゴにもブラッチーズの好みが反映されているのかもしれない。
■新F1ロゴは「安っぽい」とロシア自動車連盟会長
ロシア自動車連盟会長のイゴール・エルミリンは、この新F1ロゴについて『Sportbox(スポルトボックス)』に次のように語っている。
「新オーナーは以前のものを捨て去ることで自分たちの存在を示したいと考えているように感じられるね」
「だが、新しいロゴはあまり理解できないし、面白くもなく、安っぽくて幼稚だよ」
■現役トップドライバーたちも旧ロゴ派?
そして、F1現役ドライバーの中にも新ロゴマークに違和感を覚えた者が少なくないようだ。
フェラーリのセバスチャン・ベッテルはこの新ロゴマークについて感想を求められると、「僕は古いやつの方が好きだったな」と答えている。
また、メルセデスAMGのドライバーたちもベッテル同様あまり新しいロゴを歓迎していないようだ。
アブダビGPでポール・トゥ・ウィンを飾ったバルテリ・ボッタスが「以前のものでは何がいけなかったんだろうね?」と語れば、2017年に通算4回目のF1ドライバーズタイトルを手にしたルイス・ハミルトンも次のように付け加えた。
「僕はこれまでのものがすでに象徴的なものになっていたと思うよ。フェラーリやメルセデスが彼らのロゴを変えたらどうなるか想像してごらんよ」
■デジタル時代にふさわしいロゴが必要だとリバティ
だが、ブラッチスはロゴマークを一新した理由を次のように説明している。
「古いロゴでは多くの人たちがFと1の間に見えない1が隠されていることに気付くことはなかった。新しいロゴの方がもっと明確だよ」
「それに、古いロゴではシャツなどに印刷してスピード感を表すことが難しかったといったような、いろいろな理由があるんだ」
「デジタル時代に入ってから、例えばスターバックスやコカコーラなどのビッグネームでさえ彼らのロゴを分かりやすくシンプルなものにしてきている。我々がやろうとしているのもそれだ」
■批判が起きるのは想定内
さらに、新ロゴに対する批判的な意見もあると指摘されたブラッチスは次のように続けた。
「ブランドが変わるときには、とりわけそのブランドが大きな情熱をかきたてるようなものの場合には、こうした反応が起きることも想定しなくてはならない」
「人々が変化を好まないのは普通のことなんだ。だが、私はそれはいいことだと思っているよ。なぜなら、みんながこのブランドのことをそれだけ気にかけているということを示すものだからね」
■新オーナーの判断を信頼するとFIA会長
F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のジャン・トッド会長は、FIAがこの新たなF1ロゴを承認したことを明らかにし、次のように語った。
「権利所有者がそうしたいと考えるのであれば、新しいロゴを導入することもできる」
「みんなもこうした変化を前向きに受け止めるべきだろう」
F1最終戦が行われたアブダビでそう語ったトッドは、次のように付け加えた。
「リバティの人たちはみんな非常に豊かな才能を持っているし、ほかのスポーツにおいても優れた功績を残してきている。私は彼らの判断を信頼するよ」