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ルノーが新F1エンジン案に反対する理由は?

2017年11月21日(火)5:15 am

10月末にF1新オーナーのリバティ・メディアが2021年以降のF1エンジン案を発表したが、ここまでのところ既存のF1エンジンサプライヤー4社のうち、メルセデス、フェラーリ、そしてルノーがそれに対して反対の意思表示を行っている。

中でもフェラーリは現行のエンジンコンセプトが大きく変わるようであれば、F1からの撤退も辞さないという姿勢を見せるなど、今後この問題がどういう方向へ進むかまだ予断を許さない状況だ。

■またしても新エンジンの開発が必要に

そして、このほどルノーのF1プロジェクトを率いるマネジングディレクターのシリル・アビテブールが、リバティ・メディアが示した案に賛成できない理由をドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に語った。

「我々に提案されたものは新しいエンジンなんだ」

「つまり、まったく新たな開発が必要となり、新たなプロジェクトを立ち上げることになる。恐らくは携わる人数や投資額もさらに増えることになるだろう」

「2つめの問題は、2021年以降のF1がどうなるのか我々にはまだ分からないということだ。シャシー、コスト削減の方法、収益分配がどのように変わるのか、我々にはその全体像が見えないんだ」

そう語ったアビテブールは、次のように付け加えた。

「エンジンのコンセプトは示された。だが、ほかのすべてのピースがひとつに合わさらないかぎり、それを評価することはできないよ」

■MGU-H問題も2020年までには解決できる

リバティ・メディアが示した2021年F1エンジン案で最も大きなインパクトがあるのは熱エネルギー回生システムであるMGU-Hの撤廃だろう。

パワーユニットと呼ばれる現行F1エンジンの中で最も複雑なコンポーネントだと認識されているMGU-Hがうまく機能せず、信頼性の問題も抱えてしまったことからルノーやホンダでは年間使用制限を大きく超える数のMGU-Hの投入を余儀なくされ、今年も大きなグリッド降格ペナルティーを受ける事態となっている。

このMGU-Hの撤廃は、それに苦労しているルノーにとっては悪い案ではなさそうにも思えるのだが、実際にはそうではないようだ。

「現時点での観点から言えば、私はMGU-Hは好きじゃないよ」

そう認めたアビテブールだが、次のように続けた。

「だが、2020年までには我々も問題を解決できるだろう」

「そうすれば、メーカーや顧客(チーム)にとってもコストは削減できるはずだ。だが新たなエンジンコンセプトになれば、またゼロからすべてを始めなくてはならなくなる」

■リバティ案ではまた格差拡大も?

そう語ったアビテブールは、下手をするとまた2014年に現行パワーユニットが導入されたときと同じことが起きてしまう危険性もあると次のように付け加えた。

「そして、またうまいやり方を見つけられるメーカーと、間違った対策をとるメーカーが発生し、それによってF1チームが2つのグループに分かれてしまうことにつながるだろう。それゆえ、私は現在のコンセプトとは違うものにする理由が分からないんだ」

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