先週末に開催されたF1シンガポールGP(第14戦)決勝を1周目のクラッシュによるリタイアで終えたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)だが、幸いなことに搭載していたPU(パワーユニット)にはダメージはなかったようだ。
■グリッド降格ペナルティーの不安が和らいだベッテル
ベッテルはシンガポールGP決勝のスタート直後にチームメートのキミ・ライコネンと激しく接触し、その影響によりターン4を抜けたところで右のウォールに激突してレースを終えてしまっていた。
フェラーリの地元イタリアの『La Repubblica(レプブリカ)』は、このクラッシュによってベッテルが搭載していたPUがダメージを負った可能性が高いと報じ、今後のレースで年間4台までと定められたPUエレメント使用数を超え、グリッド降格ペナルティーを受けることになりそうだとしていた。
そうなれば、あと6レースしか残っていない段階でランキングトップのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)との差が28ポイントに広がってしまったベッテルにとっては、非常に大きな打撃となるのは間違いない。
だが、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』が、ベッテルのPUにはダメージはなく、今季終盤に使用することが可能だと報じた。
■マレーシアでは新スペックPU投入か
さらに、フェラーリでは予定通り次戦マレーシアGP(10月1日決勝)に新スペックPUを投入することにしているという。
現時点でベッテルはPUエレメントのうちターボチャージャーとCEと呼ばれる電子制御パーツはすでに4台目を投入しているが、ICEと呼ばれる内燃機関本体、MGU-H(熱エネルギー回生装置)、MGU-K(運動エネルギー回生装置)、ES(エネルギー貯蔵装置)はまだ3台しか投入していない。
それらのエレメントに関しては、ベッテルはグリッド降格ペナルティーなしで新たなものを投入できることになる。
一方、メルセデスAMGのハミルトンとバルテリ・ボッタスはすでに4台目のICE、MGU-H、MGU-Kを投入しており、残りのレースでそれらの新スペックバージョンを投入することはできない。
万が一ハミルトンのPUに今後不具合が発生するようなことがあれば、ベッテルに大きなチャンスが巡ってくる可能性もある。
フェラーリとしては新たに投入する新スペックPUエレメントとベッテルのドライビングに逆転タイトル獲得の望みを託すことになりそうだ。