マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエが、ホンダとの共同プロジェクトに取り組んでいた過去3年間はまさに悲惨な時期だったと語った。
かつてはF1トップチームとして君臨していたマクラーレンだが、ドライバーズタイトルは2008年のルイス・ハミルトン(現メルセデスAMG)が最後であり、コンストラクターズタイトルに至っては、ミカ・ハッキネンを擁してダブルタイトルを獲得した1998年以来無冠状態が続いている。
こうした状況を打破しようと2015年からホンダと手を組んだものの、3年目を迎える今季も現時点では10チーム中9番手に低迷している。
そして先週末に今季第14戦が開催されたシンガポールにおいて、ついにマクラーレンとホンダが今季限りで関係を解消することが正式に発表された。
■この3年間でチームの信用度が損なわれた
ブーリエは、ホンダとの関係解消や、2018年からマクラーレン・ルノーに生まれ変わることについてF1公式サイトのインタビューの中で次のように語っている。
「過去3年間は、我々の評判や新スポンサーの獲得という観点からはまさに悲惨だった」
「今後は長期的視点に立つことが必要だし、私は今後5年間でマクラーレンが本来位置すべきところへ返り咲くことができると確信しているよ」
「そして、この巻き返しによって、我々は自分たちの信用度を取り戻すことができるだろうし、スポンサーも増やすことができるはずだ。それには2年か3年かかるかもしれないがね」
■ホンダとの決別によるリスクはない
マクラーレンとホンダの関係解消には複雑な背景もあったと考えられている。そのひとつが資金面の問題だろう。ホンダがこのプロジェクトに多額の資金を提供していたことは知られているが、ホンダとの決別を決めたことにより、マクラーレンは来季以降無償エンジンの提供は受けられず、逆にルノーからエンジンを購入しなくてはならなくなる。
しかし、ブーリエは資金的なことはそれほど大きな問題にはならないはずだと主張している。
「我々は今選手権で9番手にいる。トップレベルのエンジンを積んでいたならば今ごろは4番手にはいられただろうと思っている。そうすればFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント/F1商業権管理組織)からの分配金でエンジン費用も工面できていただろう。だから(ホンダと決別しても)資金面で大きなリスクを抱えることにはならないよ」
そう語ったブーリエは、次のように付け加えた。
「勇気ある株主たちのおかげで公明正大な選択ができ、マクラーレンを傷つけないようにすることができる。彼らは“ホンダが目を覚ますまで待とう”と言うことだってできたわけだからね」