今季限りでの契約解消が確定したと報じられているマクラーレンとホンダだが、それが正式に発表されるのは今季のF1第14戦シンガポールGPが開催される今週末になると考えられている。
非常に複雑な交渉を経て、マクラーレンが来季からルノーと組み、ホンダはトロロッソにパワーユニットの供給を行うことで決着を見たことはすでに公然の秘密となっている。
■4チームへの供給は無理だとルノー
フランクフルト自動車ショーの会場で、どうしてルノーでは来季単純にパワーユニット供給チームをひとつ増やすことにせず、トロロッソへの供給を断念することにしたのかと質問されたルノーF1チーム社長のジェローム・ストールは『AFP通信』に次のように答えた。
「技術的に、我々にはできないんだ」
「そうしないと、今供給している3チームのうちひとつに不利益をもたらすことになるだろうからね」
「結局のところ、我々はF1において単なるサプライヤーではなく、(ワークスチームとして)実際の戦いに加わっている立場でもあるんだ。我々にとっての問題は、2020年までに表彰台に手が届くようにするための戦略なんだ」
■なぜオコンではなくサインツ?
現在広く報じられているうわさでは、今回の複雑な取引の一環としてトロロッソのオーナーであるレッドブルがカルロス・サインツの契約をルノーに譲渡することで合意したようだと言われている。
だが、ルノーの母国フランスでは、スペイン人ドライバーのサインツよりも昨年ルノーの控えドライバーを務めていたフランス人ドライバーのエステバン・オコン(フォース・インディア)を登用し、ニコ・ヒュルケンベルグのチームメートに据えるほうが好ましいのではないかとの声もある。
■ドライバーに関しては契約条件の検討が重要に
そうした意見について質問されたストールは次のように答えた。
「我々は全員と話をする」
「そして、誰が獲得困難なのか、誰が完全にフリーなのか、あるいは誰が獲得はできてもまた連れ戻される可能性があるのか、そういったことを見極める必要があるんだ。エステバンに関しては、彼はメルセデスとの契約がある」
「つまり、もし彼(オコン)が来るとしても、それは特定の期間だということになる。そうなると、仮にそれがうまくいったとしたら、彼はまた(メルセデスに)呼び戻されることになるだろう。だからその期間だけ彼を抱えることに興味が持てるだろうか? それは意味のあることかもしれないし、そうではないかもしれない」
■ルノーにとってはいいドライバー獲得のチャンス
そう語ったストールだが、今はルノーにとっていいドライバーを獲得するチャンスだと考えているようだ。
「実際のところ、あまり多くのシートは残されていないだろう。ベッテル(フェラーリ)とハミルトン(メルセデスAMG)は再契約したしね。だから、メルセデスAMGやフェラーリへの加入をもくろんでいた者たちは失望することになりそうだ」
ストールはそう語ると、次のように付け加えた。
「我々(ルノーF1)は、非常に優れたドライバーたちにとって、すごくいい選択肢になるよ」